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SEO小説 カニのオマージュ



好子が帰ってきて洋一は状況を説明した。

「よっぽど知られたくない何かがあるってことだわね。」
「僕は怖い。」
「ここで挫けたら負け確定よ。」
「あの順位確認ソフトを、コンピュータが分かる人に見てもらうのはどうかしら。」
「えっ?」
「私は知り合いっていないけど、洋一はコンピュータのエンジニアの友達っていない?」
「うーん、何人かいるけど。」
「その人に中身を調べてもらったら?」
「うーん・・・。」
「迷っていてもしょうがないじゃない。それしかないかもしれないわ。」

洋一はそれでも迷っていた。

「やるしかないわ。やらないと、抱きしめるわよ。」
タラバガニから抱きしめられたら、とてもではないが無傷では済みそうになかった。
「うん、わかった。」
しぶしぶ、洋一は頷いた。
「それじゃあ、今すぐメールね。アポを取って。」
「うん・・・。」

洋一は3人の友人のSEに連絡を取った。
うち1人は学生の頃からコンピューターにハマりまくっていて、自分でOSというものを作っているって奴だった。
案の定、2人からは今までの経緯と内容を話したら無理と断られたが、例の奴は逆に俄然興味を示して、

「おお、やるよ。面白いじゃん!」

と二つ返事だった。
週末が明けて月曜日の朝、連絡が洋一にあった。

「あれ、わかった。」
「え?わかったんだ。」
「あれはね、どうやら3つの機能がある。

1.キーワードについてブラウザ上で検索した際の順位の履歴を確認する。
2.セットされたURLを検索結果画面が出たらクリックする。
3.ブラウザ画面で表示されている順位をどっかのサーバに送信する。
4.とあるサーバー上にあるキーワードを取得して、Yahoo!で検索する。
ってものだね。」

「ごめん、よくわからない。」
「お前、そんなことも分からないでSEO会社に勤めてるってダメすぎだよ!
俺はシステムエンジニアだけど、それくらいピンとくるよ。」
「頼む教えて。」
「いいかい、
1はお客に説明している機能そのものだよ。それ自体は何の問題もない。

2はお客が見ている順位をサーバーに送るっていうのは、あくまでそのパソコンで見ている順位っていうのが重要なんだ。
しょっちゅクリックするURLっていうのは検索順位が、そのパソコンでだけ順位が上がるんだよ。
だから、実際には順位が上がっていないのに、そのパソコンでだけは順位が上がって見える。

3は2の順位をお前の会社のサーバーに送信している。
それに基づいてお前の会社では、SEOの成果報酬を請求しているんじゃないか?
だから詐欺なんだよ。お前がお客から怒られたのは当たり前だな。

4は最初意味が全然わかんなかったんだけど、色々調べたらわかった。
色々なパソコンで検索されるキーワードは、Yahoo!の虫眼鏡の部分に表示されるんだよ。
例えば、

『SEO 株式会社ウェブ』

ってYahoo!の中で色々な人が検索していると、『SEO』って検索すると、虫眼鏡の部分に、
『株式会社ウェブ』って表示されるようになるみたいなんだ。
ところが、これは1台のパソコンじゃうまく行かなくて、多数のパソコンを使う必要がある。それに使っているみたいだね。
・・・以上、解析終わりだよ。」

「すごいね。SEって誰でもそんなことわかるものなの?」
「そんなわけ無いだろ。俺が特別なの。わかった?」
「おお、そうなのか。」

電話が切れた直後、好子から電話がかかってきた。

「助けて!」
「どうしたの?」
「私も力になりたくて、課長の席に盗聴器仕掛けて見つかっちゃったの。
あ、助けて、あ、そんなに叩かれたら甲羅が割れる・・・。」

携帯電話越しに周りの物音が聞こえる。

「ふてえ奴だ、カニの分際で、もう許さない、食ってやるぞ!」

課長の怒鳴り声だ。
ガツ、ドッ、バキッという物音も聞こえる。いくら頑丈な殻でもそんなに激しく殴られたら無事では済まなさそうだ。

「こ、こ、この通話を課長に、か、代わって・・・。」

「何だよお前、まだ何か用か!」
「か、か、か課長、あ、あ、あのあのCDの秘密、わわわわかりましした。さ、さ、ささ詐欺なんですよね。
か、か彼女をすぐにか、開放して下さい。
さ、さもないと、ひ秘密をばらしますすよ。
いいんですか!」

課長は蒼白になってその場に立ち尽くした。

「好子、大丈夫か!」

しかし、返答はなかった。


好子は課長に甲羅を割られて息絶えた。
洋一の通報により警察が株式会社ウェブに急行、課長は逮捕された。
その後、洋一の証言により詐欺の全貌も明らかになり、会社の上層部の全て逮捕の運びとなったのである。

あの気丈な好子はもうこの世にはいない。
しかし、洋一は最後に彼女の勇気を自分の力とすることができた気がしたのである。

※当記事はエイプリルフール企画です。

もしこちらを気に入ってくださったのであれば、是非合わせてご覧くださいませ。こっちの方が時間をかけて書いたので、ましです多分w掌編小説「カニのオマージュ」

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コメント

  1. 伊藤公助 より:

    好子が最後、カワイソ過ぎる。。(T_T)

    ちょっとだけリアルで、最後が切ない特別企画ですね。
    長文お疲れ様でした。

    楽しく読ませて頂きました。

    北海道人なのに、
    タラバガニはカニじゃなくてヤドカリの仲間という事を知りませんでした(笑)
    勉強になりました(・∀・)

    • tamu より:

      ちょっとだけリアルってこんなSEO会社があったら嫌ですね。
      ここまでブラックハットを極めたらすごいけど、もはや社会の敵って感じです。

      そうそう、タラバガニはヤドカリの仲間なんです。
      コウモリと鳥がたまたま似てるのと同じですね。
      カニは足が10本ですけど、タラバガニは8本ですから、明らかに違う種類ってなわけで。

      まあ、どうでもいいんですけどね(笑


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