ブラックハットSEOは許されるか

SEOの手法とか、テクニックとかといった話でもなく、マーケティングにも全く関係ない話である。
今回のテーマであるが、

ブラックハットSEOは許されるか

である。

この種の議論についてはいつも何とも言えない違和感があって、私としてはこの違和感が何なのか?ということをずっと考えていた。
だから、この違和感の理由を突きつめてみたいと思った次第なのだ。

私が感じた違和感は2種類である。

1.ブラックハット、いいじゃないですか。
法律で禁止されているわけでもないし、他の人だってやってますよね。

あるSEO業者から聞いた言葉である。
確かにビッグキーワードで上位表示しているサイトの多くは、ブラックハットSEOを行なっていることが多い。
被リンクを購入しない限りはビッグキーワードでの上位表示は確かに難しく、自社だけがこれを行わなければ損をする(かもしれない)のが現実ではある。しかし、ここまできっぱり肯定されると複雑な何ともやり切れない気分になったものだ。

2.ブラックハットは絶対にやってはいけない。

これは確かに正しいのだけど、SEO業者の言葉として発せられた場合、何とも複雑な気持ちになる。
SEOはホワイトハットの手法だけでできるのか?
ナチュラルリンクを獲得して、上位表示するなんて器用なことはほとんどのSEO業者にはできない。
また後述の理由によってSEOを実施する人のほとんどがブラックハットであると言えるのだ。
それにも関わらず、ブラックハットを否定することは欺瞞である。


「ブラックハットは許されるのか。」

この議論は複数の論点を含んでいる。
私なりに論点を分けてできる限りはっきりさせようとするのが、この記事の主旨である。

さて、「許される」という基準をまず決めておこう。
許されるためにはいくつかの条件がある。

1.自分の所有するものにたいしては何をしてもよい
2.自分にとって不利益なことであっても、不利益を正しく理解した上でなら行なってもよい
3.ただし他人に迷惑をかけてはいけない

わかりやすくこれを原理としたい。
これが現代自由主義の原則だからだ。
※上記原則についてもっと詳しいことを調べたい方は、情報社会の自由と禁忌をご覧頂きたい。大変わかりやすくまとまっている記事である。

特定の社会規範を共有しない者同士でも、理解し得る出発点としてこれが妥当であろう。
宗教・社会常識・歴史といった共通の倫理観を共有しない人々の間の原則として、このルールを元に法律なども作られていることが多い。

さて、ではこの原則に照らし合わせてブラックハットSEOは許されるか?
ということになる。

まず第1の原理について考察しよう。

1.自分の所有するものにたいしては何をしてもよい

自分が所有している身体・財産などについては原則としてどう扱ってもよいということだ。
どこに行こうが何をしようが、自分のものなら売ろうが捨てようが、勝手で文句を言われる筋合いはないということである。
この原理に即して考えれば、自己所有のサイトであればブラックハットSEOをやってもいいということになる。
無料ブログなどの場合にはサーバー提供者から借りており、自己所有ではないのでサーバー所有者が禁止している施策を行なってはいけない。

次に第2の原理について考察しよう。

2.自分にとって不利益なことであっても、不利益を正しく理解した上でなら行なってもよい

タバコを吸うこと、飲酒することは成人にのみ許されている。それは自分自身の健康を害する可能性があることを、正しく理解できる年齢であることが最も大きな理由である。
未成年は身体的に害が大きいという理由もあるのだがこれが大きな理由だ。
パチンコ店への入場や、馬券の購入に年齢制限があるのも当然と言えるだろう。
※補足をすると、国家は国民に対する保護者的な機能も担っているため、麻薬といった極端に害のあるものについて禁止をしている。未成年の飲酒喫煙は、この意味において禁止されているという側面もある。

ブラックハットSEOは、ペナルティやインデックス削除といった危険性がある。
それを理解してもらった上でならばおこなってもいいことになる。
SEO会社の一般的なスタンスとしてはこのようなところだろう。

第2の原理からは危険があるということを理解した上であれば、ブラックハットSEOを行なってもよいという結論になる。

最後に第3の原理である。

3.ただし他人に迷惑をかけてはいけない

基本的には人間は自分で好き勝手にやってもいいのだが、その行為が他人の自由を侵害するという場合には自由は制限されるということだ。

ブラックハットSEOは他人に迷惑をかけるのか?
誰に迷惑をかけるのか?

それが論点である。
実は複数の対象にブラックハットSEOは迷惑をかけている。
最初に挙げるのが誰もが忘れている、あるいは知られていない意外な相手である。
SEOに携わる人のほとんどは迷惑をかけていると言える。
それは誰に対してであろうか?

他ならぬGoogleである。

Googleの品質に関するガイドラインにはこの記述がある。

ページの送信や掲載順位の確認に不正なコンピュータプログラムを使用しない。
このようなプログラムはリソースを消費し、Googleの利用規約に違反しています。
Googleは、自動化またはプログラム化されたクエリをGoogleに送信する WebPosition Gold™ のような製品の使用は推奨していません。

GRCといった順位確認プログラムを使うことは、これに違反している。
Googleの所有するサーバーに対し本来の利用目的と異なる、不正な利用方法により大きな負荷をかける行為であるというのだ。

Googleは利用者の利便性のためにコンピューターを増強してきた。
その利便性とはインターネット上にある様々な情報に対して、速やかにアクセスできるようにするためである。
ところが、自動化されたクエリはまったく利用者の利便性とは関係がなく、不要の負担をGoogleに対して強いるものだ。

あと、コンピュータのリソースを消費だけではなく、地球環境への問題も存在する。
Googleの公式見解によれば、1回のクエリによって0.2gのCO2を排出するそうだ。これと別に英国の環境コンサルタントのJohn Buckley氏によれば、クエリ1回のCO2排出量が1gから10gとなるという見解を示している。
1,000回のクエリを行うと、200g~10kgのCO2排出が行われるという計算だ。
Googleの消費電力についてはこちらをご覧頂きたい。

GRCを使っていながら、ホワイトハットを行なっているっていう発言を行っていることに、私は違和感を感じるのである。

さて、もう一つである。
これが一番注目される視点だ。

Googleは検索ユーザーの利便性を第一に考え検索順位を決定している。
そのためブラックハットは検索順位を不当に操作することによる、検索ユーザーの利便性を損なう行為である。

利便性を損なうこと、すなわち迷惑ということになるのか?という問題だ。

自サイトの順位をブラックハットな手法によって上げることが、検索ユーザーの利便性を損なうのかという問題はある。
検索結果などというものはGoogleという一私企業が決めたものに過ぎない。絶対的に正しいとは言い切れないという反論がある。

「自サイトは他の上位表示されているサイトよりも、検索ユーザーの利便性を満たしている。だからブラックハットで上位表示させてもよいのだ。」

とうそぶくことも可能ではあるかも知れない。
しかし、これは誤りである。それは自己評価であり公正ではないからだ。
Googleはまだ不完全ではあり、今後も不完全であり続けるだろうが公正ではある。

公正な裁定に従わず誰もが好き勝手にしはじめたら、混乱し使い物にならなくなる。
誰もがブラックハットSEOを行ったら、検索エンジンは使い物にならなくなりユーザーが困るわけだ。

Googleはペナルティを課しているものの、ペナルティにならなければブラックハットSEOを行なってよいということにはならない。


ここまで論じてきたが、結局のところ非常にありきたりな結論に落ち着いたのである。

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2012/03/12 | コメント/トラックバック(1) |

カテゴリー:essence

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