SEO小説 カニのオマージュ


SEOコンサルタントという職業についているらしい好子はタラバガニだった。
コンサルタントとは何か彼女は知らなかったが、名刺には、

「株式会社ネット SEOコンサルタント 佐藤好子」

と書いてあるので多分そういう職業なのだろうと彼女は思っていた。

彼女は去年、北海道の海辺にある大学を卒業しそのSEO会社に就職した。
とてつもない就職氷河期である。
ましてや彼女はタラバカニだ。
約100社に応募し唯一採用されたのがその「株式会社ネット」だった。
そもそも彼女はSEOって言葉すら知らなかったのだが是非もなかったのである。

彼女はいまだにSEOとは何かよくわかっていなかった。

まず入社して初めての仕事は電話だった。
職業別電話帳をめくって上から順番に電話をしていく。
アポイントが2件取れるまでは帰ってはいけないというルールである。

朝9時から電話を始めて、アポイントが取れないと夜の12時までひたすら電話。

「そんな夜中に電話するって非常識じゃないですか!」
と、食い下がった新入社員もいたのだが、
「いつ何時、SEOしたいって思い立たないとは限らないじゃないか!
会社の宣伝会議が長引いてインターネットに力を入れようって結論が夜の11時にあるかも知れないぞ。
その時にうちが電話すれば受注が取れるじゃないか。翌日じゃ遅いかも知れないんだよぉ。」
「・・・」
「別に文句があるなら辞めてもいいんだよ。替りはいくらでもいるんだ。」

12時になると解放されるのだが、その後営業日報を書いてダッシュで終電に乗る。
しかし、そこはタラバガニの悲しさ、動きが遅いので乗り遅れることもしばしばだった。
そんな時は会社で仮眠をとり、そのまま翌日仕事。

「もしもし、株式会社ネットの佐藤と申しますが。
お世話になっております。
当社は御社のホームページをグーグルで検索した時に、
必ず上位に表示するというサービスを行なっております。
御社の知名度が上がって、
売上アップにつながるお話ですので、
ホームページのご担当者様をお願いします・・・。」

朝から晩までこんな感じで電話。
ほとんど話しを聞いてももらえず、結構ですと切られてしまう。

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2012/04/01 | コメント/トラックバック(2) |

カテゴリー:AprilFool

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