SEO費用対効果試算【EXCEL表付】

essence

企業のWeb担当者と話をしていると、意外なほど費用対効果について考慮されていないことが多いことに驚く。
SEO業者から営業を受けてSEOを知って、SEO業者にあまり考えずに発注したりすることも多々あるようだ。

それは何故なのだろうか?

1.ビッグキーワードで上位表示できれば儲かると思っている(幻想です!

2.社内にWeb戦略そのものがなく誰かに頼りたい(無理です!

3.ブランディングにはビッグキーワードの上位表示が必須だと思っている(間違いです!

といった理由があるためらしい。
これらは当然誤りである。

SEOそのものは専門業者でできるが、Web戦略は自社で考えなければならない。
費用対効果はすべてのビジネスにおける戦略の最も基礎に置くべき問題であるが、Webに関してこれをやっていない企業が多い。
片手間にやっていたり、正面から向き合いたくないという企業が多いということなのだろう。
だから、SEO業者に丸投げしたいというのが本音なのではないか。

だからこそ、まずSEOを依頼する前にビジネスの最も基本となる費用対効果を考えることから、Web戦略を改めて考えてみたらどうかと考える次第である。

さて、SEOの費用対効果の最も基本的な成り立ちはこうである。

※ここでいうSEOは特定のキーワードを上位表示することによって収益を得るという手法を指す。

②自社ホームページ訪問数 = 1.月間検索数 × ①クリック率
④問合数 = ②自社ホームページ訪問数 × 2.問い合せ率
⑥契約数 = ④問合数 × 3.契約率
8.損益 = 4.平均粗利益 × ⑥契約数 – 5.SEO費用

[丸囲み数字はEXCEL表上段の前提部分の数字・ピリオド付き数字は下段の試算表の数字を指す。]

SEO費用対効果見積EXCEL表

ここからEXCEL表のダウンロードができます

8.の損益が最終的な判断のポイントである。
ここで十分な利益が出なければやるべきではないというのが合理的な判断となる。
簡単に計算できるEXCELの表を添付したので、興味をもたれたら是非ダウンロードしていただきたい。
ちなみに、表に入っている数字は入力例としての参考であるため、でたらめなデータであることをお断りしておく。

さて、この表の項目の説明をしたいと思う。
表の上半分が、条件を入力する部分で、下半分が試算結果となる。

入力の方法であるが、

1.月間検索数
Google キーワードツール
これはGoogleが提供している検索数を調べるシステムである。これを用いればGoogleでの検索数がわかることになっている。
Yahoo!キーワードツール
正式な名称はYahoo!リスティング広告の「キーワードアドバイスツール」。これを用いればYahoo!での検索数がわかることになっている。
Googleと違って誰でもすぐに使えるシステムではないので、概算でよければとりあえずGoogle キーワードツールの数字を入れておくのもよい。
aramakijake.jp
検索数予測ツール「aramakijake.jp」は株式会社ディーボが提供している、GoogleとYahoo!の検索数を推定するシステム。どのように推定しているのかは不明だが(ディーボ社の担当者に実際にお会いしたときに聞いたことがあるのだが、独自の計算をしているとしか教えてくれなかった)私の感じている感覚値に近い時が多い。

この3つのシステムを用いて、月間の検索数を入力する。
入力するとわかるのだが、aramakijake.jpと他の公式のシステムの数字の隔たりが大きいのにすぐに気がつくだろう。
なので、公式のシステムは楽観値として考え、aramakijake.jpは悲観値として考えればよいと思う。実際に試算にはそのように表示を行っている。

2.問い合わせ率
CVR(コンバージョンレート)という。
ホームページに来たユーザの中からどれだけの割合の人が、問合せといったアクションを起こすかという率である。
普段からGoogle Analyticsなどを用いて解析していれば、比較的容易に自社のCVRはわかるだろう。逆にわかっていないのであれば、まずここを把握すべきである。
あるいは、開設してまだ期間が短いホームページなどだと統計が少ないので、仮に1%を入れておくのがよいと思う。

参考 クリック単価の損益分岐とコンバージョン率の関係

3.契約率
問い合わせがあった中でどれだけ実際の契約になっているかという確率である。
今まで100回問合せがあって、20回が実際に受注に結びついたというような場合であれば20%となる。
比較的安価な物品の通販のような場合であれば、問合せイコール受注というケースが多いと考えられるので、ここは100%に近い数字になるだろう。

4.平均粗利益
1人の顧客が得られることによって、平均していくらの利益が得られるか。
化粧品のようにリピート性の高い商材になると、1回の受注は小さいが複数回購入するのでその合計となる。

5.SEO費用
SEO業者からの見積額を記入する。
1位から10位まで同じ額であれば同額を全部記入し、順位別に成功報酬が違う場合はそれぞれ異なる額を記入する。

これがすべて記入できれば、SEO業者に支払う金額が費用対効果に見合うかどうかが判断できるはずである。
そこで2つ注意がある。

1)楽観値と悲観値の差が大きすぎて判断がつかないケース

悲観値をとってみて、最悪のケースでもあまり損にならない結果がでればいいと私は考えている。
販促費が潤沢にあるのであれば、楽観値に賭けてみるという選択肢もあるがあまりお勧めはしない。

2)記入すべき数字がわからない

サイトがまだ立ち上がっていないとか、まだ数字が読めない状況であるときはある程度の確度を持った予測値を入れるべきである。
もしそれが入れられないということであれば、そもそもそのサイト自体の戦略的な意味から再考せねばならないだろう。


最後に試算表について補足して終わりたい。

①クリック率について
Sligshot SEOの調査結果(2011年1月~6月)による。これによれば1位でも18.2%しかクリックせず、10位にいたっては1%しかクリックしないという調査結果になっている。
詳しくは、1位でも18%? 同じ検索順位でもクリック率は前より下がっている?をご覧頂きたい。

③集客毎コスト = 5.SEO費用 ÷ ②訪問数
PPC広告との費用対効果の比較に使うとよいだろう。

⑤問合毎コスト = 5.SEO費用 ÷ ④問合数
アフィリエイト広告などの成功報酬型広告との費用対効果の比較になどに使うとよいだろう。

コメント

  1. starion より:

    通常のEコマースを運営しているので、問合せ数の部分が当てはまりません。

    その場合、どのように本記事のエクセルを活用すればよいでしょうか?

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