SEO担当者は誰に向かって仕事をしているのか

essence

今日もSEOの技術とは全く関係がない話題である。

最近思うことがある。

悪だと言われまくっているSEO業者であっても、中で働いているSEO担当者は悪とは限らないということを言っておきたいのだ。
結局は誰を自分の主人だと考えて仕事をしているのか?
という問題である。

SEO業者に勤務している担当者には4つの主人が考えられる。

  1. 自分の担当するクライアント
  2. 検索エンジンそのもの
  3. 担当者自身
  4. SEO業者の経営者もしくは上司

今風の言葉で言うならば、
「誰得?」
っていう話だ。

1.自分の担当するクライアント

私は全てのビジネスマンは自分のクライアントの利益を再優先に考えるべきだと思う。

私が考える本来あるべき姿は1番目の自分の担当するクライアントだと思う。
これはクライアントの要望に無条件に従うだけではない。
クライアントの利益を再優先に考えるならば、クライアントよりも更に高い視点、広い視野から見る必要がある。
クライアントのためにならないことは、その理由を説明し、対案を提示して説得する義務を負うだろう。

「被リンクで手っ取り早く上げてくれ」

って言われたら、私がSEO業者の担当者ならクライアントの利益にかなわないことを説明する。
対案は常に持っておく必要がある。
内部改善?ロングテールSEO?PPC?
といった2の矢、3の矢を持って初めて説得力を持つだろう。

それらもコスト的、期間的に見合わないと判断した場合にのみ、出来る限りリスクを回避する方法で被リンクを貼るといった対応がベストだと私は考えている。
被リンクのリスクを出来る限り回避する方法はこちらを参照のこと

また実際のところ担当者はクライアントを第一に考えているかもしれないが、そうできないという事情も多々あったりする。
このあたりの事情は最後の4で書く。

2.検索エンジンそのもの

SEO業者の社内のR&D部門(Research&Development:研究開発)などに所属する人は、検索エンジンそのものだけを見ているといった場合もある。
しかしごく稀であり、大手のSEO業者であっても研究専門の人員を抱えていることはほぼない。

とは言え、検索エンジンだけをひたすら見ているといった担当者は存在してはいる。
こういう生き方っていうものは面白そうだと思うが、私自身はあまりSEOそのものにはそこまでの興味がない。
SEOってものはビジネスにおける一つのレイヤーにしか過ぎないっていうのが私の気持ちだ。

それで生きていけて、楽しいと感じるのであればそれはそれで自分の生き方であり、他人がとやかくいう筋合いではないだろう。
とは言え、SEOはビジネス全体からは言うに及ばず、Webの集客手法の一部にしか過ぎない。
生涯一つのスキルで食っていけるか?たいていの職業において微妙だが、SEOもその例外ではない。
SEOのスキルしかなかったらまったくつぶしがきかない。だから個人的な意見としてはSEOのみに執着することは避けたほうがいいと思う。

参考記事:SEOはいつ死ぬのか?

3.担当者自身

自分の美意識で仕事をする担当者である。
職人気質というか、自分の納得する仕事をすることが最も大切という価値観だ。
これはSEO業者に所属している場合でも、インハウスでSEOを担当している場合でも難しい。

会社は利潤を追求するために存在しているわけで、自分の美意識と利潤の折り合いをつけなければならない。
なので、このタイプの担当者はいずれ独立して価値観に共感してくれるクライアントの仕事だけを請け負うフリーのSEOエンジニアになるか、価値観を第一優先から外して普通のSEO担当者としてやっていくかのいずれかを選択せねばならない。

4.SEO業者の経営者もしくは上司

結局雇われている限り仕方がないっていう話だ。
私が一番書きたかったのはこの担当者のことである。

1~3を大切にしたいという価値観を持っていても、実際は会社員として雇われている限りはままならない。
誰から給料をもらっているか?
本来はクライアントからなのだが、しかし自分に給与を払ってくれるのは会社であり、人事権を持っているのは上役や経営者だ。

自分の良心と会社の命令をどこで折り合いをつけるか?という問題はサラリーマンにとって宿命的につきまとう。
どうやって折り合いをつけるか?なのだが、

  • 抱えている案件が少ないのであれば会社の命令に従いつつも、もっとクライアントに対し手厚くフォローする。
  • 自分で会社をコントロールする。

恐らくはこの2つしか選択肢はない。
そして、前者も後者も中小零細SEO業者しかとりえない選択肢だと思う。
特に評判が芳しくないのは大手SEO業者であり、そのような会社にいる限りはどちらも難しい。

大手だとクライアントに相対しているのはSEO担当者ではなくて営業担当者だし、組織全体を変えることも、組織のトップの考え方を変えようと試みることもほぼ無理だ。

そもそも、SEOというビジネスを大手がやろうとするならば、コンサルタントの手がかかるような営業形態はとりえない。

SEO業というビジネスモデルという記事で過去に書いたが、大手はどうしても人的コストの掛かるSEO施策は行い得ないのだ。

大手SEO業者に勤務している心あるSEO担当者は日々苦悩している。
その業者にいる限り出口のない顧客軽視のトンネルを彷徨う。

自分の力量と人脈に自信があれば独立してフリーのSEOエンジニアになるなり、大手Webサイトを運営する会社にインハウスSEO担当者として転職する道もある。

しかし、今まで怪しい被リンクの構築ばっかりやってきたのであれば、自分のスキルに自信も持てないだろう。
家族がいれば食わせなければならない。

とは言え、辞められないと信じこんで可能性を断つのは早計だ。

大体のサラリーマンは小さな杭でつながれた象のようなものだ。

象を最初に捕まえた時は、大きな木につないで逃げられないようにする。
これを繰り返すと、象はつながれている限り逃げられないものだと思うようになる。
小さな杭につながれているだけなのに逃げなくなるのだ。

自分をつないでいたのはこんなちっぽけな杭に過ぎなかったのか?

と気がつけば、逃げられる、あるいは逃げる準備をすることができる。

もし、自分の良心と現在の仕事の折り合いがつかないのであれば、自分は小さな杭につながれた象なのではないか?
と一度考えてみて欲しいのである。

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