地名に関するキーワード、場所に依存するキーワードでの集客を行うための考え方


「サイトと地理的なクエリの結び付きを強化する際の考え方」についての質問をいただいたので今回はこれについて答えてみたい。

来店、あるいは訪問型のビジネスにおいては地名に関するキーワードからの集客が非常に重要である。
「品川 歯医者」「横浜 歯医者」といったキーワードだ。

そして、ベニスアップデートによって地域との関連性が高いと考えられるキーワードは、検索しているユーザーの位置によって検索順位が異なるようになったと言われている。
日本ではベニスアップデートが導入されたというGoogleからの公式なインフォメーションはないようだが、実際には順位は異なっている。

例えば「歯医者」というキーワードでは、品川で検索している場合と横浜では自然検索の順位が明らかに異なる。

実際に移動して確かめるのは難しいのだが、地域による検索順位の変化を確認できる(厳密にイコールとは限らないが)。
Googleの検索画面の右上の歯車マークのアイコンをクリックし、「検索設定」「場所」の順でクリックしてやると場所を指定することができる。

出来る限り近隣の歯医者を検索結果に出そうとしていることがよくわかるだろう。

このような地域性のあるキーワードだけではなく同名の法人が複数ある場合、法人の名称を検索すると検索しているユーザーの近隣の法人の検索順位が上になるといったような現象も見られる。
要はGoogleはできる限り検索意図に近い検索結果を返そうとしている結果がこれなのだ。

これらのことからわかるようにSEOにおいては、Webサイトと地域の関連付けをGoogleに対して正しく指し示してやることが重要だということが分かるだろう。
ではどうすればいいのか?というのが今日のお題だ。

基本は、渡辺隆弘氏の【ローカルSEO】[1] ローカルSEOの概要に詳しいのでこちらをご覧いただきたい。

なのでここに載っていないことについて種々私が体験したことについて書いてみよう。

よくある間違いがとにかく地名に関するキーワードを埋め込むという手法である。
建築会社などで「当社施工対象地域」などと称して、全ページに近隣地名を全て埋め込もうとするといったことをやっている会社もある。
それぞれのページにある様々なキーワードと、地域キーワードの掛け合わせで集客しようとする企みだ。
しかしこれはNGである。まずいい結果を生まない。安直にはうまくいかないのである。場合によっては全体の検索順位に対してネガティブな影響を及ぼす。

とは言っても、これはまるっきり無意味というわけでもない。

店舗概要といったページの中に施工対象地域を入れておくといったインフォメーションは悪くない。
これはユーザーにとっても、
「あ、この建築屋さんはうちのところまで来てくれるんだ」
ということが確認できるといった利便性を提供する。
この程度では地域キーワードの掛け合わせで来訪することはなかなか望めないが、やらないよりはマシであり可能性はゼロではない。
要はユーザーのためになる程度にやりましょうということである。

少しズルく考えれば、対象地域を明記した概要のページを充実させて作ればキーワードの掛け合わせパターンが増えるかも知れない。
概要ページといったなおざりにされやすいページについて頑張ってみるのは意味があるかも知れないのだ。

私が考える重要なことそれは

ページの中に地名を必然として入れる

ことだ。

建築会社の事例で言えば、自分の会社が立地する地名については当然のことながら上位に来ることが多いだろう。
しかし、周辺の地名についても上げたい場合は、その地域における施工事例、オープンハウスなどを詳しく書くのである。

もしそのようなコンテンツが作れないのであれば、深追いせず潔くあきらめるのが吉である。
なぜなのか?

自分のWebサイトは該当の地域キーワードで上がる意味が見出せないからだ。

上位に表示されるサイトには上位に表示するべき意味がなければならない。
なので、もし様々な地域キーワードで上位に表示したいと願うのであれば、実ビジネスにおいて何らかのアピールポイントが必要なのだ。
バーチャルオフィスを借りてそこを支店として記載するといった裏技もあるが、これがばれたらブランディングを損なうのでそんなことはすべきではない。

あくまでも該当地域に住んでいるユーザーにとって、Webサイトに訪問する意味がなければならないのである。

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2015/02/10 | コメント/トラックバック(0) |

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SEO担当者を自社で採用すべきかしないべきかの指針について


今回のテーマであるが会社の方針として難しい問題について考えてみたい。

SEO担当者を自社で採用すべきか?

という問題である。
実はこのブログのネタというのは、社内外の人や掲示板などで受けた質問に答えてというところから取っているケースが多い。
自分が簡単に答えられる質問もあるのだが、ちょっと考えてしまったりするような質問もある。
そのような質問で「これはいい質問だわ」と思うとブログに書くといったわけだ。

今回の質問は「どうやったらいいSEO担当者を採用できるのでしょうか?」

という質問だったのだが、その質問には前提を疑う必要があった。
そもそもSEO担当者を採用すべきか?という観点から考えられなければならない。
こっちの質問がむしろ重要である。

「ほとんどの会社においてSEOの担当者は不要である」

からである。SEOの担当者が絶対的に必要な会社というのは非常に少ない。

業種から言うと絶対必要な会社というのはSEO業者、あるいはWebの集客のコンサルティング会社ぐらいのものである。
これまあ当然すぎるほど当然なので、ほとんどの会社はそもそもSEO担当者が必要かをよく吟味しなければならない。

SEOがビジネス上重要であったとしても何故SEO担当者が不要なのか?
前提としてはWebサイトが重要であり、SEOに取り組まねばならない会社であったとする。その中において担当者が不要だというケースについて列挙してみたほうが早そうな感じなので、不要なケースについて書いてみよう。

1.Webサイトを数多く所有しているわけではない

SEOの知識がサイト運営において必要な場面は非常に少ない。
担当者が主に活躍するのはサイトの開設時、リニューアル時である。
そんな局面においても、一つのサイトについて多大な時間が必要なわけでもない。

せいぜい数十時間、いや数十時間もかかることはごくごくまれだろう。

普段の仕事としてはウェブマスターツールで被リンクを定期的にダウンロードしてチェックしたり、クローリングできているか確認したり、といったような業務になる。
こんな仕事は1日平均20分ぐらいあればだいたい事足りる。
コンテンツの増強計画をアクセス解析などを元に作るといった業務もあるが、そんなしょっちゅうやるものでもない。

だから、2・3サイト持っているというぐらいならば、SEO専任の担当者は要らない(兼任だったらいたほうがいい)。

2.SEOについての社内のコンセンサスが得られていない

実はこれが重要だったりする。
SEOはビジネス的なメリットが出るかどうかが不確実なマーケティング手法である。
これをやったことによって、どれだけの利益が得られるのか?についてを常に問われる組織においてSEOは向いていない。
SEOは確実な正解はあるが、その施策を行ったとしても結果が出るかはやってみなければわからないからだ。
費用対効果が明確なのはリスティングといった広告である。
もし、費用対効果を明確にするのであればリスティングに取り組んだ方がよいだろう。

3.担当者に短期的な結果が求められる

短期的な結果が求められるSEO担当者は不幸である。
あまりにも性急に結果が求められるならば、被リンクを買う、あるいは自分で人工リンクするしか選択肢がなくなる。
そのような場合にはペナルティの危険を伴い、逆効果になるかもしれない。
短期的な結果を出すならばこれまたリスティングがよい。

4.社内に協力体制がない

SEOを行うためにはサイトの改修ができなければならない。
しかし、改修するにあたって様々な障壁があることが多い。
ある時は改修コストであり、またある時は改修するための担当者のスキルや手間、あと面倒なのが部門間の調整といった政治がらみだ。
コストや手間がかけられない、様々な部門間の調整があり変更ができない、あるいはとても困難というWebサイトにとってSEOは適用が困難である。

手足を縛った状態で「自由に泳いでみろ」と言われても困るだろう。

SEO担当者というものは単独では無力なものである。
コーダー、コンテンツ作成者といった諸担当者のサポートがあって初めて機能する。
協力体制がないSEO担当者程悲惨なものはない。
また、担当者は悲惨であるし、Webサイト自体に何の益ももたらさないであろう。

5.適任者がいない

SEO担当者は知識は当然前提として必要だ。
それにプラスして向学心と探求心が必要である。
サイトの繁栄を自らのこととして受け止める主体性が必要で、受け身ではとても成功はおぼつかない。
適任者がいないのであれば、無理に誰かを担当にしてもうまくいかない。


以上の状況であれば、SEO担当者を置くのではなく、状況を整える、あるいは外部コンサルタントにスポットで依頼するのが現実的には有効であろうと思うわけである。

上記の状況は多いというか、ほとんどが上記の状況に当てはまってしまう。
ほとんどのWebサイトにとって外部コンサルタントを依頼するのが吉ということになる、というのが結論ということになりそうだ。


SEO小説を電子書籍として再編集してみました。
SEOについてある程度詳しい人であれば、

「これってあるある。」

っていう感じで笑えたり、笑えなかったり、嫌なことを思い出して腹が立ったりする小説集であったりします。
このブログで書いた小説ではあるのですが、脚注など加筆したりしていますので気が向いた方は是非ご購入くださいませ。
あと、感想文などお寄せ下さると作者が喜びます。

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2015/01/26 | コメント/トラックバック(0) |

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Web制作者のためのSEOスキル・考慮事項など5つの質問


最近「ネタ切れです」という話をしたところ、Webutubutu!を運営している稲垣氏からネタを頂戴したのである。
稲垣氏には残念ながらお会いしたことはないのだがWebデザイナーの方である。

ブログを時々読んでいるが、SEOに対する判断・見識においてその辺のナンチャッテSEOコンサルタントなど及びもつかないと思っている。
(自分がナンチャッテであることを自覚していない、あるいはポジショントークをするコンサルタントは非常に有害である)

さて、稲垣氏の質問は色々な人の役に立ちそうな気がするので答えてみることにする。
いただいたネタは以下の通り。

  1. 制作はこれだけは抑えとけというSEOスキル
  2. 新規サイトではこれだけはやっとけというSEO的な設定
  3. 「サイトの順位が落ちたのはなぜ?」と制作が聞かれた際にどこを見てどう判断すればよいのかマニュアル
  4. サイトと地理的なクエリの結び付きを強化する際の考え方
  5. SEOを意識して内部に手を入れた際に効果を見るための期間と見方

これらはなかなか制作側からすると知りたいところだろう。

第1問目
制作はこれだけは抑えとけというSEOスキル

これは大昔に書いたことがあった。2011年10月の記事なのでもう誰も覚えていないだろう。
今読み返してみたが古くなっていなかったので、これを載せておくのだ。
ホームページ制作会社に必要な11項目のSEO知識

第2問目
新規サイトではこれだけはやっとけというSEO的な設定

これは結構難しい質問である。
サイトの規模にもよるし、サイトの性質によっても変わってくる。

Web担当者Forumの2011年12月の記事「サイトを新設する際のSEOチェックリスト #1 アクセス性・キーワード・コンテンツ」これが近いだろう。内容的には悪くないと思うのだが、今一つピンと来ない感じがするし、不必要な場合が多い項目もある。
他にもサイト開設時のSEOのチェックリスト的な記事はたくさんあったが、内容が古かったり間違いと思える項目があったりして今一つお勧めできる記事が見つからなかった。
そういったわけで、再度記事にしてみたい。ってなわけでもう一回ブログが書けるのである。稲垣氏に感謝である。

第3問目
「サイトの順位が落ちたのはなぜ?」と制作が聞かれた際にどこを見てどう判断すればよいのかマニュアル

1.ペナルティで下がっている場合と、そうでない場合がある。
2.特定のキーワードが下がっている場合と、全体的に下がっている場合もある。
3.一時的な場合と、長期間にわたって下がっている場合もある。

といった感じで場合分けして考える必要があるだろう。

1.ペナルティで下がっているのであれば、ペナルティの要因を取り除くことで回復が可能だ。

ペナルティかどうかは以前に、

Googleペナルティ判定フローチャート

という記事を書いた。
これで全て判定できるとは限らないのだが、かなりこれで判定できるだろう。
ペナルティになってしまった場合は、ユーザー視点で考えてみて無意味あるいは有害であり、検索エンジンからの集客のためにやったことを解消すればよい。
ほとんどのケースであれば、この手のことは自分自身が何をやったかわかっているはずなのでそこを直せばよい。

2.特定のキーワードだけが下がっているケースはアンカー過剰といったケースが多い。

しかし、アンカーテキストは検索順位に大きな意味を持つということを知ると、ついやりがちなのでそのあたりを改善する。
また、品質の低い外部リンクにによってこの問題が起こることがよくある。
その場合リンクを外すといった対応が必要になる。

但し、特定のキーワードで下がってしまっても、自然検索経由全体で見たときの来訪者数はほとんど変化がない時もある。
この場合は、特に対応はする必要はないケースが多い。
何もなくても順位は大きく上下するものなのである。

全体的に下がっている場合は対応が非常に難しい。

何か大きなネガティブな要因があって下がっている場合は、canonicalタグといった検索エンジンに対する指示のタグが間違ってしまっているといった人為的ミス、全体的にコンテンツが薄いといった要因などが考えられる。
コンテンツが薄いと検索エンジンから判断されたような場合は、実際には薄くない場合もあり判断が難しい。

要因がたくさんあり、正直私も分からないケースもある。理由がないとしか言いようのない場合もある。
このケースについてはとてもとても難しいのだが、これまでの知見について後日まとめてみたい。

第4問目
サイトと地理的なクエリの結び付きを強化する際の考え方

これは所在地を会社概要などに入れるのはもちろんのことなのだが、その近隣地域での様々な活動をコンテンツとして残すのがよいというのが私の経験則である。

原理的に言ってもそれが正しそうだが、実際にこれをやってみると地名系のキーワードで上がるだけではないようだ。

検索クエリによっては地域によって検索順位が変わることもある。
このような施策により該当する特定の地域で検索した場合の検索順位が上昇するケースを見たこともある。

第5問目
SEOを意識して内部に手を入れた際に効果を見るための期間と見方

これはなかなかに難問だ。
手を入れる度合いによりけりである。
確実によいと思えることでも全く効果が出ない(わからない)場合もある。
例えば、今までh1が設定されていなかったページについて表題をh1にして、h1にキーワードが含まれていたとしても順位が上がるかどうかはやってみなければわからない。
このようなケースであれば、正解であったとしても効果がわからない可能性が高い。

また、色々な施策を行った場合にどれが効果を生み出したのか?
複合的な要因によって効果が上がったかもしれない。

逆に良いはずのことをしても順位が下がる場合もある。
何もしなくても順位が下がる場合もよくあるが、何かの変更を行ったタイミングでたまたま自然的に順位の下落が発生すると、その施策が悪かったと思ってしまうかもしれない。

といったように難しいのだ。

とは言え、SEOの観点から望ましいことをすれば基本的には順位は上昇する可能性が高い。
評価は最低1週間、通常は1ヶ月程度は様子を見る必要があるだろう。

それ以上待っても順位が上がらなければ、その修正は順位上昇に寄与しない可能性が高いと考えてよさそうだ。


さて、今回は5問の質問について書いてみたわけだが、難問だったという印象である。

とは言え、私としても考えるきっかけができたし、また記事のネタができたのでとてもよかったと思っている。
また、続報として個別の問いについて答える記事を書きたいと考えているので、これからもお付き合いの程お願いいたします。

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2015/01/19 | コメント/トラックバック(0) |

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こんなSEO業者に勤めているなら退職することをお勧めしたい


役に立つというわけではないのだが好きなSEOのブログにSEO日記 一喜一憂 (仮題)というブログがある。

SEO業者に勤めるってことがどんなことか?

ということがよくわかるブログである。

SEO会社を辞めました。

という記事があるが、なかなか本当に実感がこもったいい記事である。

最後にクライアントとそのような会社に勤務している社員に対するアドバイスが載っているが、

契約をする時は契約書と規約をしっかり読んで、分からない事は全部営業に確認して、出来るなら全て録音して下さい。
中で頑張ってる人は、その頑張りが会社の外からどう評価されるのか?を考えて行動する事をお勧めします。
これを読んだ同じ境遇の人が少しでも救われるといいな。

結局はこのブロガーの方はSEO会社を辞めて転職したというわけなのだが、私もこれは正解だと思う。

といったわけで、こんな会社なら辞めた方がいいと思うSEO業者の条件について書いてみたい。

石の上にも三年という言葉があるが、大体の職業にこれは当てはまる。
しかし、とっとと離脱すべきという仕事がこの世の中には存在する。

学校を卒業して最初に入った会社が振り込め詐欺をやっていたとする。

でも、

「世間ではあれこれ言われているけど、私たちのやっていることは社会の正義なんですよ。
金をため込んでいる老人たちからお金を回して、経済を活性化しているんです。だから頑張ってくださいね。」

といったことを連日言われていると、だんだんそれに慣らされていく。
良し悪しの判断ができなくなるはずなのだ。

私はこの種の犯罪組織に所属している人達の全てが、悪しき動機に基づいてやっているのではないと考えている。
最初は生活のためといった理由で良心の呵責を感じながらやっているうちに、徐々に慣れてしまっていく過程があると思うのだ。

悪徳SEO業者もこれに似ている。

生活のためにその仕事をやっているうちに、良心を忘れる、あるいは慣れるのだろう。

ちょっと前の話であるが、私の知り合いの会社がSEOのテレアポの営業を受けたのだ。
その知り合いの会社はSEOのこととかよくわからないので、私に話を回してきたのである。

私はテレアポの担当者と話をしたのだが、よくよく話をしてみると結局はリースでSEOを売りつけるといった内容だった。
いまだにそれをやっている業者があるのか?
とたまげたのだが、そのテレアポの営業をしている担当者と話をしていたら、非常にSEOに詳しく正しい知識を持っていることに驚いたのだ。

多分まだ20代の女性だと思われるのだが、大したものだと思ったのである。

「すごいお詳しいですね。なのに何でSEOをリースで売りつけるような会社に勤めているんですか?」

と率直に聞いてみたのだ。
それに対しては返答しないで、テレアポを打ち切るモードに入ってしまった。
とても残念である。

まあ、そんなこともあったのでこんな記事を書きたくもなったのだ。

さて、やっと本題に入るのだ。

「こんなSEO業者に勤めているなら退職するべき」という私の考える条件だ。

1.顧客のことを考えて営業しているか?

最も重要なことはこれに尽きる。
もちろん全ての会社は営利企業であって、自社では利益を取らねばならない。
しかし、顧客の利益にならないことをやってはならないということは自明である。

悪徳SEO業者というものは顧客の利益を無視しているから悪徳なのである。

もし、

「今こんな仕事をしていていいのだろうか?」

と疑問を持ちながら日々を過ごしているのであれば、この点を問うべきである。

2.自分のスキル向上につながるか

現在は食えている商売であっても10年後は食えないであろう仕事はたくさんあるはずだ。
その中で、SEOは食えなくなる仕事になる可能性が非常に高い。

SEOのテクニカルな面だけを担当する仕事ではつぶしが効かなくなる。
ビジネスに深く入り込んで一緒に作り上げるといった仕事をしていかないと、いずれ通用しなくなるだろう。

または、休日、休暇がきちんと取れ、勉強する・見聞を広げるといったことができる環境が必要だ。

言い換えれば、SEOだけではいずれ食えなくなるから、そのために備えることができるかできないか?なのである。


条件に付いて2つ書いてみた。
普通に休日出勤で、夜も徹夜、顧客のことは無視といった、両方を満たすSEO業者もあるようだ。

だからと言って今すぐ辞めると生活が成り立たなくなるだろう。
ならどうすればいいか?

ソーシャルネットワークなどで人脈を作っておくのが私はいいと思う。

SEO関係者は同業者同士ソーシャルネットワークで盛んに交流しているので、転職先を見つけることもできるかも知れない。
また、日々のやり取りのなかで自然にスキルアップできる。
そして重要なこと、

自分の会社の常識が世間の常識ではない

ということを常に意識することができる。
この視点は忘れてはならないと思うのである。

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2014/11/04 | コメント/トラックバック(0) |

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【追記済み】SEOの考慮が正しくできたショッピングカートのシステムはあるか


2014/10/21追記

権成俊さんの敬称が抜けておりました。大変失礼いたしました。

2014/10/19追記分

とても有意義なコメントを頂戴したため追記した。
コメントを下さった皆様に感謝である。

また、SEO対応が可能なショッピングカートの存在が明らかになったことにより、ECの業界に一石を投じることができたのではないか。
と大変意義があったと思っている。

さて、いただいた情報を実際に詳細に検証していないのだが、仕様について目を通してみたところ、

この2つはSEO的な観点から充分及第点であると思う。

及第点という意味は、普通に運用すれば普通にファインダビリティを高めていくことができるという意味である。
住太陽氏が常に強調していることとして、

コンテンツ(ユーザーが知りたい、読みたいというニーズを満たす)」と「セリング(売り込み)」の2つがWebサイトにはあり、ほとんどの検索クエリはコンテンツを見るために行われる。

ということがある。
コンテンツによるSEOとは、

  • ロングテールキーワードから自サイトを発見してもらう
  • 様々な検索キーワードで検索結果に露出するため、度重なる訪問が見込めるようになり、ブランドを覚えてもらえる単純接触効果によって安心感・信頼感を得る
  • 良質なコンテンツを通じて自サイトへの信頼を獲得する
  • 購入に至るまでの様々な心理過程において露出することで、見込み客を育て中長期的な売上の向上につながる
  • サイト内の情報の多様性によりビッグキーワードでも検索順位の向上が図られる

といったマーケティング活動を行うことを示している。
ECサイトにとって非常に重要な販促活動なのだ。

しかし、ほとんどのショッピングカートにおいてはセリングページしか作れず、コンテンツ作成ができない。
上記のマーケティングができないことを意味している。

従って、コンテンツを作ることができないショッピングカートは、

「SEO対応」

とは言えないのだ。
SEOができるというのはtitleタグや、metaが編集できるということではない。
それができるのは当たり前のことであり、更に上記の一連の目的を達成できるものでなければならない。
充足しているのであれば、「SEO対応」を堂々と唄ってよいだろう。

情報を寄せていただいた、FutureShop2と、Live Commerceは仕様を見る限りにおいて「SEO対応」である。

権成俊さんから頂いたコメントについて、

> SEO屋の視点では無く、マーケティングとして考えた方が良いと思います。

まさしくその通り。

蛇足になるが、一言だけ私の意見を述べさせていただこう。

導入する側としては100%正しい。
ECの売上に責任を負うコンサルタントの立場としては、これで必要充分であり問題ないと言って差支えないと思う。
私も勧めていいと考えている。

権氏に対しての意見ではなく、私の意見はあくまでサービス提供側に対する要望である。

多くの人が使うサービス基盤は、導入する側が手を入れたりすることができない。
それゆえに、SEO屋から見ても、
「よくできているなあ、勉強になるわぁ」
と感心するものであって欲しいと願うのである。

MakeShopに関しては私はかつて機能について詳細に検証したことがある。
店長ブログという機能があるが、中途半端であって、
WordPressの導入については設置できないとサポートから案内された覚えがある。

個別ユーザー毎のサポート掲示板でそのようなやり取りがあった気がするのだが、今となってはログインできないので不明だ。

とは言え、できるのであれば検討してもいいかも知れない。


結論から言うと、

「ない」

のである。
ひょっとして私が無知なだけですでにあるのであれば教えて欲しい。
ブログで宣伝させてもらうので、連絡いただけたら幸いである。
このサイトからリンクするので、少しは被リンクの効果があるかも知れないし、また多少なりとも宣伝の効果もあるかも知れない。

私としては中小零細企業の販促のお手伝いをさせていただいているのだが、その中で前からとても困った課題に直面している。
それは、

「SEOの考慮が正しくできたショッピングカートのシステムがないことである」

中小零細小売店は大手のECモールに参加していることがほとんどなのだが、これはいわば鵜飼のようなシステムだ。
ひとたび参加すると離脱できない。
条件を決められて不満であっても、店舗側からはどうする術もない。

大手のECモールは徐々に条件を悪くしているが、それでも離脱することができないので泣く泣くそのままやるしかないのだ。

私は大手のECモールがあることを否定しているわけではない。
消費者から見た時には大きな利便性がある。
また店舗側からも全く自前のインフラやノウハウがなくてもECを始めることができるのはメリットだ。

最初はいいかも知れない。

しかし、

料率が高く粗利益を圧迫する。
顧客の名簿が自店の財産にならない。
購入した人に自店の存在を覚えさせることが難しい。

といったデメリットが長期にわたって継続するにつれて顕在化する。

なので、完全に離脱できないとしても、独自サイトへ徐々にシフトしたいと考えるのはごく自然な流れである。
しかし、これが難しい。

大企業はではどうしているのか?
自社で独自のシステムを開発して営業しているのが普通だ。

この手の決済や在庫管理を伴うシステムは開発規模が大きくなるのが普通で、少なく見積もっても1千万円に近いほうの数百万はかかってしまう。
大手の場合であれば、数千万円、数億円といった投資になることもある。

こんな規模の投資ができない中小零細企業は、永遠に依存し続けなければならないのか?

選択肢は二つある。

1.EC-Cubeといったシステムを使って自社で運用する。

これは金銭的な負担は少ないものの技術的に非常に難しい。
中小零細企業がおいそれとできるようなものではない。
まったくインフラ知識がないような商店主ができるようなものでは全くない。

PHPをちょろちょろ触って何とかなるWordPressなんかと違う。
商品数が増えてきたときに実用に耐えるだけのパフォーマンスを出すためには、データベースやサーバの知識が必要になってくる。

システムのアップデートも非常に難しく、プラグインが動かなくなるといったことも発生する。
そんな時にもサポートしてくれるベンダーがほとんどない。
技術力がないとどうにもならないと言ってもいい。

2.ショッピングカートを使って移行する

一般的に取りうる選択肢はこちらしかない。
この選択肢においてはECモールと違い、集客は自ら行わねばならない。

SEOへの十分な考慮が死活的に重要なのだ。

私が調べた限りにおいてこれができているショッピングカートはない。
現在サービスを提供しているほぼすべてのショッピングカートが、

SEO対応

をうたっているが充分とは全く言えない。ここで言うSEO対応というのは、titleタグやmetaタグが編集できるといった程度のものである。
こんなことはできて当たり前で、ECサイトに求められるSEOはもっと様々な考慮が求められる。
SEOのコンサルタントとして高名な某氏とゆっくり話をする機会があったので、そのあたりを聞いてみたのだがやはり彼も、

「ちゃんとSEOの考慮ができてるショッピングカートはないね。」

という見解だった。

私の考えるショッピングカートで最小限必要と考える機能を上げておこう。
これはあくまで十分なものではなく、必要最小限として思いつく限りだ。
だが、この程度を満たしているものがないのが残念である。

  1. ECモールとの在庫連動
    これがないと集客以前に話にならない。
  2. ブログ機能
    WordPressやMTといった充実した機能を持つCMSを同一ドメインで動かすことができる。
    これがSEOのキモとなる部分なのだが、これが非常に難しい。
  3. noindex・nofollow対応
    商品画像のポップアップといった検索エンジンから見て意味のないページへのリンクをnofollowにしたり、ページそのものをnoindexにできる。
  4. 類似ページ正規化
    単に色違いであるだけといったページについてcanonicalで正規化する、あるいは代表的なページ以外をnoindexにすることができる。
  5. 同一コンテンツ別URLの生成への考慮
    商品一覧を見たときに1ページ目は、
    /item/
    で、2ページ目を見た時には、
    /item/page2/
    それで1ページ目に戻ってきたときに、
    /item/page1/
    となってしまうようであれば駄目である。完全に同一の内容であるにもかかわらず2つのURLが生成されるのはNGだ。
  6. sitemapの生成
    これは人間が見るsitemap.htmlと検索エンジンが見るsitemap.xmlの2つだ。

特に1.2.が死活的に重要、他も重要である。

私はかつてこのようは要件を満たすショッピングカートがないかECのソリューションの展示会を見に行って、ブースの担当者に聞いてみたことがある。
でもやはりできないという見解。

ある担当者は、

「できるんですよ。でもどこもやらないのはコストがかかるからですよ。」

といったSEOおたくは全くやだねえみたいな態度であった。
おたくどころの話ではない。
この程度ができず何がSEO対応なのだかちっともわからない。
SEOのイロハのイであって、これができていないというのは不勉強だからであり怠慢であると私は思う。

多くの中小零細企業は困っているのだ。

この記事を読んだら是非取り組んでいただきたいと思う次第なのである。

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2014/10/14 | コメント/トラックバック(6) |

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良いSEOと悪いSEOの見分けるための考え方


最近スパムSEOづいている感じである。

当ブログであるが、

「悪徳SEO業者」なんてしょーもないキーワードで上位表示されたり、
はたまた、
「SEO業者」なんてそこそこビッグキーワードで10位以内に2URLも表示されたり、

当ブログはSEO業者でもなければ、ましてや「悪徳SEO業者」などでも全くないので、まあ、面白いやら、面白いやらって感じである。

「SEO業者」って記事で上位表示している記事であるが、もし広告枠を提供したら買ってくれる業者っているだろうか?D社とか?
まあ、多分売らない気がするが、まあ金額によっては考えますのでよろしくお願いします(って結局金目かよ)。

何でまたスパムSEOの記事を書こうと思い立ったかというと、Web担で鈴木さんに紹介してもらったからブログ記事を書き始めるにあたってちょっと過去記事を眺めたりしていると、そこから着想を得て記事のネタを考えついたりするのである。
それで、最近はスパムSEOのことをばかりを書いているので、そこからまた着想を得てしまうという悪循環なのだ。

さて、どうでもいい前置きが長くなってしまった。

プラス、もしくはマイナスに作用するSEOの考え方だ。

さてなぜSEOスパムはだめなのか?

当たり前のことなのだが、検索エンジンは常に利用者にとって最も最適な検索結果を表示させるように努力し続けている。
それに逆らう行為だからだ。
言うまでもなく当たり前なのだが、この理をよく考えて体得すれば、

  • マイナスになる可能性のあるSEOとは何かを理解することができる
  • 検索エンジンを介してもっと集客することができるようになる

というメリットがある。

マイナスな可能性のあるSEOとは検索エンジンの意向に反すること、言い換えれば検索エンジンを通じてその先にいる人達にとって不利益をもたらすことである。

サイトのリニューアルのためのページ遷移図やワイヤーフレームを主にSEO的な観点からチェックしていると、高い確率でユーザーの利便性と一致していることに気がつく。
ユーザーの利便性とSEOが相反することはあるのだが、そんなケースではSEOについては無視してしまってもさほど問題ないことが多い。

でも大きな例外はある。
この例外の見分け方は、人間が見ているものと同じものを検索エンジンが見ることができるかどうか?で考えればだいたい間違いありませぬ。
AjaxとかFlashとかは検索エンジンが見られないので駄目である。
人間が見られるものと同じものを検索エンジンが見られるようにしておけば、あとは人間が判断するのとおなじように検索エンジンはそれなりによきに計らってくれる(だろう)。

さて、マイナスになるSEOの考え方であるが、どのユーザーにとっても得にならない施策のことだ。
これは前回の記事でもも書いたとおり。

では逆によいSEOとは何であろうか?

SEOとは最近コンテンツを作ることっていうような風潮はあるがこれは誤りである。
良いコンテンツを作るのはSEO以前の前提であって当たり前のことだ。

SEOというのは検索エンジン最適化と言われるように、検索エンジンに対して働きかける技術を指す。
SEOとコンテンツ作成は相互に関連しつつも概念としては別のレイヤーに存在するものだ。

  1. 誰かに見せるべきコンテンツを作る。
  2. コンテンツが見せるべき誰かの検索結果に露出するように配慮する。

このような順番があり、2の配慮を行うことをSEOという。
見せるべきコンテンツが存在していたとしても、検索結果に全く表示されなければ意味がない。
コンテンツ作成とSEOは両輪である。

現在の「コンテンツを作ることイコールSEO」であるという誤解はではなぜ生じたのだろうか?

Googleはいいコンテンツさえ作っていればそれに応じてしかるべき順位まで上げてくれるはず、だから取り立ててSEOなんかしなくてもいいコンテンツさえ作ればいいのだ。
という考え方を持つ人が増えているわけだ。

まあ、これは正しいといえば正しいのだが、あくまでそれは原則に過ぎない。

Googleはそうでありたいとつとめているのだが、未だにそのアルゴリズムには到達できてない。
だから、重要な価値のあるコンテンツであっても、それに応じた価値があると認識できないケースが往々にしてある。

コンテンツの価値が相応に評価されないことが多いのである。

コンテンツの価値を相応に評価させるための技術それがSEOだ。
当面SEOはなくなることない。

あなたの伝えたいことを充分に伝えられるコンテンツを作り、SEOを行うことではじめてあなたの伝えるべきことは世の中に伝わる。

両方必要なのだ。SEOが要らないは誤解である。

これでお分かりいただけただろうか?

最後に一言。

こう考えると、しょーもないペラページを無理やり上位表示させるっていうのはSEO以前に間違いである。
コンテンツの価値がそもそもないし、価値がないコンテンツを価値があると誤認させるのは、SEOではない。それは最適化とは言わない。

この手のペラページをGoogleとしてはわざわざデータベースに蓄積し、膨大な順位計算をCPUパワーを使ってロジックを回して、挙句の果てにはユーザーの利便性を損なわせたりする。
Googleからすると踏んだり蹴ったりである。

最近、大量にペラページを作って収益を上げていたサイトが軒並み落とされている。

まあ、当たり前である。
いずれそうなるのは運命だ。

スパムSEOで生きているのであれば今から別の商売を探すか、ちゃんとしたサイトを作った方がいいだろう。

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2014/09/08 | コメント/トラックバック(0) |

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人工リンクだけではないスパムSEO業者の手法


最近はSEO業者の話題を続けて書いているのだが、また今回もそれ系の話題である。
マンネリのようなのだがスパムSEO業者からのテレアポを受けて色々思うことがあったので、また書いてみたいと思った次第なのだ。

私がSEO施策を担当しているサイトがあり、電話番号を会社案内に明示している。
そのサイトはSEOとは全く無関係の業種であるため、Webの販促に関する営業電話は実によくかかってくる。

基本的にはよほど忙しくない限り営業電話は話を聞くことにしている。
営業電話は会社に居ながらにして向こうから情報を持ってきてくれるという面があるため、

「なるほどね」
「お、そんな手法があるもんか」
「こんなビジネスモデルがあるのか」

といった発見があることも時々ある。
私が担当しているプロジェクトは比較的予算があるので、テレアポから契約したようなケースも時々ある。

テレアポは迷惑なのだが、販促手法としては今後もなくならないはずだ。
テレアポにはテレアポにしかない有用性が二つある。

  1. テレアポでしか掘り起こせない潜在的顧客層は非常に大きい。
    会社のオーナーは誰しも売上アップを願っているが、売上をアップさせるための情報を能動的に探すことはまずない。
    売上を上げるためのソリューションを提案するためには、テレアポはいい方法と言える(あくまで売る側の立場として)。余りにも誰もが願っているにも関わらず、当たり前になっているようなことはテレアポといったプッシュ型でアプローチするのがよいのだ。
    Webの販促手法の中ではディスプレイネットワークやソーシャルメディアといった方法もあるが、まあテレアポほど説明はできないという欠点はある。
    SEOの営業がテレアポ頼みという会社が多いのはこれが理由であったりする。SEOなんて超ビッグキーワードだけど、運よくこんなキーワードで上位表示されたとしても検索数はたいしたことないし。
    ・・・でも個人的にはでもこの手のテレアポは不要なのでご遠慮願いたい。
  2. 今現在世の中で認知されていないサービスを売るため。
    テレアポみたいにゴリゴリっとアプローチしないと難しいだろう。
    この種のテレアポは時間を取って聴くことにしている。ビジネスのヒントになることもあるし、あるいは実際に契約してサービスの提供を受けることもある。
    「自分の話をきいてくれないとあなたは損をするから絶対聞いてほしい」って心の底から思っているのであれば、テレアポで売るのもそれほど悪くないと思う。

さて、横道にそれたので戻ろう。

スパムSEOの営業である。

「うちのSEOはスパムじゃありません。」

と電話の担当者は言っていた。

「うちは社内でSEOしているんで・・・」

と答えたら、腹の立つことに、

「御社のサイトを見ているんですけど、うちの方がレベル高いと思いますよ。」

って何をぬかすかスパムSEO業者!
余りにも腹が立ったので、アポを取らせて事務所に呼ぶことにした。
待ち構えていたのだが、結局アポをすっぽかして来なかったというオチである。

提案内容はこの業者の設置したブログシステムで記事を書くと、ブログのタイトルの中に地域名が設定した地名がランダムに自動的に入り、地域名との掛け合わせで集客できるという手法だそうな。

これがなぜスパムなのか理解できないならばSEOをやめた方がいいと私は思う。

地名と記事中のキーワードの掛け合わせでそのページに来訪したユーザーに対して、検索意図に合致したコンテンツを見せようとしていないからである。
地名との掛け合わせで来訪したユーザーに対して、必要な情報を何も提供していない。
こんなSEO(もどき)は単なるだましであって、こんな子供だましがレベルが高いって勘違いしているのは、笑えすぎてはらわたがよじれるようだ。

まあ、それだけではなくてほかの業者も、色々・・・

「うちは被リンクは使わずに内部で上げるんです。」

って言ってもスパムではないと思ってはいけない。
トップページの上部にiframeっぽい領域をCSSで作って、

「この中に検索キーワードを含む文章を毎日入れていくことで、更新頻度を上げ、キーワード比率を高めることでビッグキーワードで上位表示されるようにします。」

ってトークも聞いた。
この業者は月額料金は安いモノの

「12か月分料金前払い」

ってどんな嫌がらせですか?という感じである。
iframeみたいなつくりだから大量の文章を埋め込んでもユーザーは見えないから問題なかろうって発想が隠しテキストと一緒である。
スクロールすればユーザーは読めるから隠しテキストではないのだが、

「検索エンジンにだけ見せよう」

というよこしまな発想方法が隠しテキストと一緒である。
これは確かに即座にペナルティになることはないだろうが、いずれペナルティを食らう可能性がある。
HTMLのソースが上部から徐々に肥大化するので、領域の下部にあるリンクへクローラーが巡回しにくくなったり、本来ヒットすべきトップページの下部に含まれているテキストでの検索順位が下がったりといったように、全体的なファインダビリティが減少する可能性も出てくる。

これらは一例であるが、スパムSEO業者はたいていこう言うのである。

「私達の施策はスパムではありません」

このスパムではないという根拠は、

「人工被リンクではないから」

という一点に尽きる。
人工被リンク以外でもGoogleのガイドラインに明確に書かれていないスパムは無数に存在する。

では、これをどうやって見分ければいいのか?

その施策をやったら得をするユーザーがいるのか?

を考えてみればいい。
誰も得をする人がいないが、検索エンジンからの集客を増やすことを狙うといった施策はスパムを疑わなければならない。

※クローラーに対してやさしいサイトを作るといった検索エンジンに対する配慮は、直接人間には関係ないが検索エンジンもユーザーである。
検索エンジンがよりページやサイトの内容を理解できるようするのはSEOの基本であり、まったくもって正しい。

内部施策とはユーザーの役に立つコンテンツを作ること、もしくは検索エンジンに理解させやすくすることしかない。
それ以外はスパムを疑わなければならない。

こう考えれば有用な施策と無用、あるいは有害な施策を見分けることができるだろう。

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2014/09/01 | コメント/トラックバック(2) |

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悪徳SEO業者はこうしてつぶれた


SEO業者はこうして会社をつぶしたの続編なのである。
SEO業者をテーマとした小説がちょっとばかり好評なので、調子に乗って3回目なのだ。
前作を読まなくても分かるようにはなっているが、読んでいないのであれば読むことを推奨である。

ちなみに今回は最長、8900文字もあるので、こちらのPDFファイルで読んでもらった方が楽かもしれない。
半沢直樹シリーズみたいって言われるかもしれないが、まさしくその通りである。実際に最新作の銀翼のイカロスを読んで熱くなってしまったので影響があることは間違いない。
筆力の違いはいかんともしがたいが、私なりにあれを書こうとしたらこうなったってことである。


私の勤めていた榎戸商会という会社は2年ほど前に倒産した。

SEO業者に施策を依頼したECサイトがペナルティになってしまい、検索経由での売上がほぼなくなってしまった。
それだけではなく同じ業者からFacebookのいいね!を購入していたことが、ソーシャルメディア上で拡散してしまいこれまでのファンからの信頼も失ってしまったのだ。

私はSEO業者に施策を依頼することも、いいね!を人為的に集めることにも反対だった。
しかし、社長であった榎本氏がSEO業者のセールストークを完全に信用してしまい業者にいいようにやられてしまった。

私がもしあの時もっと強く反対していればと悔やまれてならない。業者の言うことに対して反論する程SEOについての知識がなかったのだ。

事務所兼、靴下を作る工場兼、社長の自宅には社長の家族も住んでいた。
まだ小学生の娘は私にもよくなついていて、学校から帰ってくるとビーズ細工などをして遊んだり一緒に一泊旅行に行ったりもした。

家族はECサイトを畳んだ時に自宅を引き払い、山梨で社長の兄がやっている蕎麦屋を手伝うことにしたらしい。
社長の兄というのは非常にケチな人物らしく、社長は昔から嫌っていたらしいのだが食っていけないのだから是非もない。

そんな兄のところに身を寄せている家族のことを思うと、もう少し自分がしっかりしていればと悔やまれてならない。

1年が経った。
私は年商20億円ぐらいのECショップを運営している飯倉株式会社という会社に転職した。
自分では零細ショップでの経験などとるに足らないものだと思っていたのだが、経験を評価してもらって採用してもらえたのだ。

「ゼロから立ち上げて黒字化したのは大したものですよ。」

そう言われたのだが、やることをやっただけのつもりだったので褒められているのか、お世辞なのか、皮肉なのかよくわからなかったぐらいである。

今回も新しい商材のECサイトを任された。

スポーツ自転車に乗る人向けの自転車用品の専門の販売サイトだ。

最初は自転車に全く興味がなかったので自信がなかった。

まずはユーザの気持ちを知るところから始めなければと考え、この金額でも初心者向けということに驚いたものの20万円程のスポーツ自転車を買った。

最初は30kmぐらいしか乗れなかったが、徐々に距離を伸ばしていき週末の度に150kmぐらい乗れるようになった。
1ユーザとして自転車に向き合っているうちに、一つ一つの商材を買うユーザの心情をつかむことができるようになるのを感じた。

最初は運営のコツがわからず苦戦したがものの、始めて2か月程で手ごたえをつかみ半年後には月商900万を超え、1000万をうかがうまでに成長した。
リスティングやアフィリエイト広告に使うための広告予算も比較的潤沢にあったため、軌道に乗せるのは割と簡単だったように思う。

毎日ブログを書いたし、週明けはツーリング日誌と称して走ったコースなどをレポートし、
ソーシャルメディアを運用して固定客のつながりを強めたり、いちゃもんとも思えるようなクレームに対しても真摯に対応し、
アフィリエイターの提携申請に対しては休みの日であったとしても必ずその日のうちに処理を行ったし、全てのサイトを実際に見た上でお礼のメールを出し、
SEOについても会社で売っている商品を販売するアフィリエイトサイトを自分で運営して、毎日実践したりしながら知見をつかんでいったりした。

やるべきことをやっているだけなのだが、これらをこなしているだけですごいと言ってもらえたのは意外に思えた。

そんな頃、SEO業者から営業電話がかかってきたのである。
SEOについては特別に取り組む必要は感じていなかった。
Webマスターツールでは着実にクエリ数も増えており、約5000程度まで増加していた。
今のやりかたで間違っていない。そういう確信はあった。

フリーダイヤルしか公開していないにも関わらず、そこにかけてくるような失礼極まりない営業電話はいつもは話途中で切ってしまうのだが、この日の電話は違った。

忘れもしない、私が勤めていた会社をつぶしたあの会社、サウザンドリーフ社である。
営業してきたのは横芝と名乗っており、私のことを知らない社員のようだった。

私は彼からのアポイント提案を受け入れ事務所に呼ぶことにした。
但し一人で来ることという条件をつけた。
私を知っている社員が同行すると全てはおじゃんになる。

横芝は事務所にやってきて、

「自転車用品っていうキーワードで上位表示させましょう。そうすれば売上は激増しますよ。」

またこれか。
既視感に激しいめまいを感じた。進歩しない人達・・・。

「本当に自転車用品ってキーワードで上位表示されると売上が上がるのですか?」
「そりゃあ、そうですよ。」

自転車用品なんてキーワードで一体誰が何を求めて検索するっていうのでしょう?と突っ込みたくなる気持ちを抑えて、

「そういうものですか。」
「そうですよ!」
「わかりました。」

とりあえずいったん話を打ち切って、

「ではこちらのサイトの対策をお願いしようと思います。」

リスティングのために前に作ったLPでありドメインは別だ。このページには自然検索経由でのアクセスはほぼないことはわかっている。
このページであればペナルティを食らってもさほど問題はない。
LPと言いつつも会社案内といったページはいくつかあるが、本サイトと同様の内容でありnoindexになっておりインデックスさせない設定になっている。
最初からSEOは捨てているページである。

上げられるものなら上げてみろって感じだ。

「かしこまりました。ではメールで見積と発注書をお送りします。」
「お待ちしております。」
「最後に1点お願いなのですが、Webマスターツールは削除が必要です。」
「何でですか?」
「GoogleはSEOを嫌いますので、SEOをやっていることをGoogleに知らせない方がいいためです」

全くあの時と同じだ。馬鹿なの?

「あのう、ちょっと聞いていいですか?御社のSEO対策ではペナルティになることはないって聞きましたが、Webマスターツールが入っていなければペナルティになったかどうかなんてわからないんじゃないですか?」
「・・・」
「どのみち今現在Webマスターツールを導入しているので、今更削除したとしてもGoogleにはサイトの存在は知られているでしょうし、Google Analyticsも消さないと意味ないんじゃないですか?」
「Google Analyticsは問題ないんです。GoogleはAnalyticsのデータを用いてペナルティにするしないの判断はしないと明言してますし。」

それはWebマスターツールも一緒ですよね。Webマスターツールが入っているとペナルティの通知が来るからあなたたちは困るからですよね。とここまで出かかったが、我慢した。

「そういうものですか。わかりました。」

とあの時のような反応をしてやり過ごした。まあ実際のところはどうでもいい。
Webマスターツールを当社側が見ているかなんてことは、SEO業者には絶対にわかりえない。

その日のうちに契約書と見積書が送られてきた。
成功報酬は24750円だそうだ。高い。もし、万が一成果が1ヶ月完全に達成した場合は76万円を超えることになる。
こんなキーワードで上がったからと言って、こんな金額を回収できるわけがない。全く馬鹿としかいいようがない。
私は売上金額の1.5%までなら自由に販促費を使ってもいいことになっているがとても足りない。

今度は、FTPのアカウントは開示しなかった。

「内部施策のために必要なのでFTPのアカウントを教えてください。」

と言われたものの、

「それは規則で社外の人には教えられないことになっています。」
「NDAを締結させていただきますがいかがでしょうか?」
「内部施策が必要であれば作業指示書をいただけば、その通りHTMLを社内のデザイナーが実装しますので御社にやっていただかなくて結構です。」
「はい、わかりました。」

これで引き下がっていたので、よくあるケースなのだろう。
FTPを開示しないので、.htaccessをどう編集したのかSEO業者側にはわからない。
.htaccessでGoogleのクローリングを拒否してしまえばGoogle検索にはヒットしなくなるので、検索順位を監視しておいて上位表示されてしまいそうになったら手を打つことができる。
実質的には1ページしかないペラサイトなので、いくら外部施策をやったとしても上位表示はほぼ100%あり得ないことだが、回避策は用意しておいた方がいい。

一番重要なこと、それはペナルティである。
契約書にはペナルティになっても一切の責任を負わない旨が記載されていたので、そこは「絶対ペナルティにならないのだからこの条文はいらないですよね」と言って削除を要求し、ペナルティになった場合には速やかに回復する義務を負う旨を明記させた。

かなり渋っていたのだが、やはり契約が欲しいのだろう。最終的には折れたのである。

契約を開始して当初は300位圏外だった順位は1ヶ月ほどで上がってきて75位まで上昇してきた。
この程度なら全く課金は程遠い。30位ぐらいまで上がってきたら考えればいいだろう。

Webマスターツールから被リンクをダウンロードしてみる。
なかなかひどいものだ。
1ページから無関係な文章が大量に羅列されていて20サイトぐらいにリンクされている。

こんな感じである。

家電量販店よりも家電通販が便利です。
世田谷で痛くない医療痩身を受けてきました。
宇都宮餃子は美味しいですね。
ランドセルは新入学の必需品。

こんな文章が延々と続く。
100人が100人見てSEOスパムだと判断できる代物だ。

このページのドメイン名は日本で使われていたとは思えないものであった。
Wayback Machineで見てみると、3年前には全然違うサイトだった。
ロシア文字が並んでいて何が書いてあるかさっぱりわからない。
ページランクは「なし」である。
危険物そのもの。

帰宅してから一つ一つの被リンクのサイトやブログを開いてみて、リンク先をまとめてみる。
リンク先はこのSEO業者の基本的に取引先であるはずだ。
Whoisでまずは全ての独自ドメインの所有者を調べてみたのだが、バリュードメインなどのドメイン販売業者の名義になっており、どの業者が実際に管理しているのかはわからなかった。

ここから尻尾をつかむことはできないか・・・。
まあ、いい。

1ヶ月かけてリストをまとめて、約650のSEO対象サイトをピックアップしてみた。

中には私のいた会社、榎戸商会のECサイトもあった。
このせいで私の会社はつぶれたのだ。
こんな雑なリンクで金を取ろうってひどいわ。ほんの少しだけではあるが薄らいでいた憤怒と自責の苦い感情が広がった。

SEO対象となっているページはページランクが「なし」になっていたサイトも30ほどあり、1位で表示されるであろうサイト名ですら10位以内に入っていないケースが多々あった。これらはペナルティを受けたサイトであることはほぼ間違いない。

私はそれらのサイトのサイト管理者に全てメールを書いた。

「自サイトをペナルティにしてしまったSEO業者に対して仕返しをすべきだ。」

という趣旨である。
多くのサイト管理者から返信が届いた。
私が以前榎戸商会の社員だったときは、契約したのはSEOの代理店で施策を行っている業者は分からなかった。

返信には株式会社エイトタウン社への恨みが多く綴られていた。
まさしく、私の会社がやられたことそのものである。

大体手口は同じだった。

  1. 日額成功報酬で契約をとる
  2. ペナルティになる
  3. 高額なペナルティ回復サービスの契約を迫る
  4. ペナルティ回復サービスを契約するとリンクをはがしてくれる

といった一連の流れらしい。
順位が10位以内まで上昇して成果報酬が発生することは最近ではほぼないらしい。
最初から順位が上がることを期待してないのかもしれない。
複数サイトをエイトタウン社に施策させていた会社では、ペナルティを受けたサイトの中で重要なサイトのみペナルティ回復サービスを契約したそうな。
すると、契約しないサイトはそのままだったものの、契約したサイトの被リンクはきれいに抹消されたらしい。

自分で泥棒をしておいて「金を払えば犯人から取り返してあげますよ」と言うような詐欺である。

非常に多くの証言がある。これだけでもエイトタウン社の犯罪の証拠としてはほぼ確実だ。
しかし、状況証拠でしかない。

ソーシャルネットワークで親しくなって、現在は時々情報交換をしているレンタルサーバ業者の社長さんがいる。
社長といっても従業員3人のこじんまりとした会社らしい。

この社長さんに前職の会社で起こった出来事と、現在エイトタウン社の施策によって困っている人のことを話して頼み込んだら快諾してくれた。

「そういう悪い奴を懲らしめるのには賛成ですね。協力しますよ。」

10IP分散のサーバについて当初半年間無料。
その後は10サーバー合わせて月額千円で使えるという破格の条件でサーバを貸してもらえることになった。
最初は私はそれに相応する金額は払うと言ったのだが、本当にその金額でいいと言ってくれたのだ。

この金額を餌にして営業メールと電話を使ってエイトタウン社にアタックしまくった。

何度も電話はガチャ切りされたが、技術担当者らしき人が出たら条件の良さに即決してくれた。

サーバ設定が終わって数日後にはサイトが徐々に立ち上がり、約1か月後にはレンタルサーバには例のゴミのような被リンクのページが山のように出来ていた。
そのページからは私がリストとしてまとめた約650サイト中に含まれるサイトも多くあった。

動かぬ証拠はつかんだ。

エイトタウン社のSEOの代理店、サウザンドリーフ社の担当横芝を電話で呼び出しエイトタウン社の社長を同行して連れてくるようにと話した。

「エイトタウン社の社長って何でですか?」
「あなたの会社はエイトタウンのただの一代理店だからエイトタウンが来なければ話になりません。」
「何でうちがエイトタウンの代理店だってわかったんですか?」
「調べれば簡単に分かることです。」
「でも何で社長なんですか。」
「社長じゃないとだめなんです。社長が来ないならばこちらにも考えがありますよ。例えば、某巨大掲示板に御社とエイトタウン社がこれまでしてきたことを書くとか・・・。」
「それって脅迫ですか。」
「さあ、どうでしょう?」

結局後ほど折り返し電話がかかってきて、エイトタウン社の社長も来社することになった。

当日の打ち合わせはセミナーでも使っている大会議室で行われた。

エイトタウン社の市川社長と、サウザンドリーフ社担当の横芝がやってきた。
こちら側はエイトタウン社のSEO施策によってペナルティを受けた会社の担当者や社長など総勢25名という陣容である。
既に倒産した私の前職の榎本元社長もいた。

市川社長も横芝も肝をつぶして、

「何でみなさんここにお集まりなのですか・・・」
「あなたから謝罪と対応をしてもらおうと思いましてね。」

「何のことですか?」

「言われないと分かりませんか?というかとぼけるのはいい加減にしてください。」
「・・・」
「ペナルティになるのが分かっていてリンクを張り、そのリンクをはがすのにお金を要求するってどれだけあなたは腐っているんですか?」
「私たちのせいでペナルティになったという証拠でもあるんですか。」
「ペナルティ回復サービスを申し込むとリンクが数日間でほとんど残らず消えますよね。あんなことは自社の管理下のリンクでなければ不可能です。」

別のエイトタウン社の被害を受けた別の会社に協力してもらい、ペナルティ回復サービス前と後のリンクをすべて印刷して残しておいたのだ。

「わざとじゃないですよ。私達だって上位表示されるように精一杯やったんです。」
「上位表示されたことなんてありましたか?私はあなたの会社がSEOを請け負っていたと考えられる650サイトを全て詳細に見てみました。」
「アンカーテキストに含まれる重要キーワードでは全く上位表示していませんね。」
「そんなのは言いがかりだ。上がっているクライアントだってちゃんとある。」

「あんなくそみたいなリンクで上がるわけないないやろボケェ!」

私に代わって発言をしたのは業界の草分けで、数多くの著作で知られるSEOコンサルタントの小岩氏だった。
被害を受けたうちの一社が彼からコンサルティングを受けているため本日同行したらしい。

市川社長は小岩の存在に気が付いて驚愕の表情を浮かべていたが、

「小岩先生お会いできて光栄です。私もあなたの書籍でSEOを勉強したんです。」

そう言って場の雰囲気を変えようとした。

「おべんちゃらなんかいらんわい。わいの本をちゃんと読んどったらあんなSEOなんかせんやろ。読んどらん証拠、ムカつく奴や。」
「・・・」
「SEO業界が胡散臭いって思われるのはお前みたいな奴がおるからや。お前みたいなカスは死んでしまえ!」

「榎戸と申します。私の会社はあなたのせいで倒産したのです。どうしてくれるんですか?」

「私の会社には責任はありません。」

「いつもそうやって言い逃れをしてきたのでしょうが今回は通らないですね。」

松岸が口を開いた。
彼はITの関連の案件を専門に行うことで知られた弁護士である。

「倉橋さんが証拠を固めてくれました。貴社がやったSEO対策はGoogle社の定めるガイドライン違反であることは明白です。それを隠してペナルティの可能性はないと強弁するのは無理でしょう。」
「被リンクがうちの会社であるなんて証拠なんかない。よそのSEO会社の被リンクなんじゃないですか?」

「証拠はあります。」

6か月無料契約を餌にして契約を取った、レンタルサーバの契約者情報のプリントアウトを松岸は差し出した。

「これが証拠です。ここに集まっている方々が原告団となり民事訴訟、刑事訴訟の両面で現在裁判の準備を行っています。これだけの証拠と証人があれば負けない。」

「お前は俺をはめたんだな!」

市川社長は顔を真っ赤にして吐き捨てるように言った。

「それはこっちの台詞ですよ。ここにいる人々を騙したのは誰ですか。」

「俺は騙してない。俺は当然の経済行為をしたまでだ。」
「この期に及んでそんなことを言うんですか。面の皮がどれだけ厚いんですかね。まあいいです。裁判の結果を待つまでもなく、もうすぐあなたは報いを受けるのですから」

翌週の週刊水曜日にはエイトタウン社とサウザンドリーフ社の行った詐欺行為の特集が組まれていた。
榎戸社長を始め他の被害者にもインタビューがなされており、また専門家の見解としてSEOコンサルタントの小岩氏、松岸弁護士のコメントも書かれていた。

この週は他に大きなニュースもなかったためか、テレビ局や新聞の取材もエイトタウン社に押し寄せた。
市川社長は相変わらずノーコメントだったが、このタイミングで退職を決意したというある従業員は、

「クライアントを騙し続けることが苦しくて辛かったんです。」

と電子音のように加工された音声で語っていた。
この従業員は裁判で証言台に立つことも約束しており、市川社長の逃げ場は完全にふさがれた格好である。

既存客だけではなく、報道を見て過去の顧客までもが続々と損害賠償請求を求める原告団に加わって来た。
市川社長の所有のフェラーリや三軒茶屋のマンションも仮差押え処分を受け、会社の現預金も凍結された。

従業員の給与を払うこともできない状況に追い込まれたのである。

エイトタウン社はついに倒産した。
ついでに言うと、エイトタウン社の代理店業務を行っていたサウザンドリーフ社も、責任から逃れることができず同様に倒産した。

会社の人々をはじめ様々な人々から応援され悪徳業者を倒すことができたが、榎戸商会を倒産させたことによる気持ちのささくれはなくなることがなかった。

そんな矢先のこと榎戸元社長から連絡があった。
靴下の製造機械は倉庫にとっておいたので、エイトタウン社からの回収よって靴下の製造販売をとりあえず再開することができたそうだ。

自転車用品の販売は軌道に乗り、部下の社員も採用してもらった。
彼女は専門学校でHTMLを勉強した経験があり熱心だった。愚直に私が実施しているのに近いレベルでこなしてくれている。
要所を押さえておけば任せても大丈夫だと思う。それに彼女はとても美人だしw

自然派靴下という商材もうちの会社で一手に扱ってECショップで販売してもいいことになった。
もともと売っていた商材なので今の知識ならすぐに軌道に乗せられるだろう。

「もう一頑張りしますか。」

夜の10時を回ったオフィスで呟いたのである。


もしこの他にもSEOの小説にご興味があれば、

SEO業者はこうして倒産した
SEO業者はこうして会社をつぶした
SEO小説 カニのオマージュ

このような小説も書いておりますので是非ご覧くださいなのだ。
カニのオマージュはあり得ない設定の小説ですが、個人的にはちょっと気に入っている。

もし、カニのオマージュが面白いと思われたならば、

掌編小説「カニのオマージュ」という同じタイトルで、設定の似たSEOとは関係のない小説も書いているので合わせてご覧くださいませ。

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2014/08/18 | コメント/トラックバック(4) |

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SEO業者はこうして会社をつぶした


前回のエントリーSEO業者はこうして倒産したが珍しくバズったので、性懲りもなくまたSEO業者をテーマとした小説を書いてみるのだ。
まあ、今回はバズらず懲りることになるのだろう。と予め予防線を張っておくのである。

今回は結構長くて読みにくいのでPDF版を準備した。
こちらからダウンロードできるのでお使いくださいませ


「私は全然ITのことは素人なので、御社を信じてお任せしますのでよろしくお願いします。」

私の年齢の倍はあるだろう榎戸社長は私に向かって深々と頭を下げた。

「私も経験不足なのでいろいろ教えてください。」

倉橋さんという若い女性がこれまでは店舗運営兼任であったがWebの選任になることになったそうだ。

「はい、ご期待に必ずお応えできるように致します。」
「SEOコンサルタントってすごいですね。SEOって全然わからないんです。色々教えてください」
「はい。」

実はほんの半年前まで投資用マンションの電話営業をしていたので、SEOのことなんかよくわからないのである。すいませんという感じだ。

3人コンサルタントと名乗る担当者がいるのだが主業務は営業である。

Aがテレアポをする。
アポが取れると、AとBが同行してお客様の会社に行く。
Aは営業部、BはSEOコンサルタントの名刺を出す。

Bがテレアポをした場合はこの逆に
Bは営業部、AはSEOコンサルタントの名刺を出す。

といったあんばいだ。
コンサルタントの役目の人がテレアポをしているとなると説得力がないので、わざとテレアポした担当者と別の担当者を連れていくという仕組みにしているわけだ。

実際はうちの会社にコンサルタントと言えるほどのスキルのあるコンサルタントはいない。

私は半年前まで投資用不動産の営業、
飯岡は1年前まで俳優を目指していて、
佐倉はこれまた1年ほど前までキャバクラの店員、

といったあんばいである。
半年ほど前まではSEO事業を立ち上げたコンサルタントの日向という奴がいたのだが、現在退職してユーザー側の会社でSEO担当者として働いているらしい。いわゆるインハウスSEO担当者というやつだ。

その彼が抜けた穴を埋めることはいまだにできていない。
SEOを教える人がそもそもいない。
我々3人で勉強会などもやったこともあったが、たった2回やっただけでその後は立ち消えになった。

ひたすらテレアポをし、受注が取れたらとリンクを調達しているSEO業者に丸投げして、代理店マージンだけで食っているのである。

日向が退職したときにSEO事業をやめるという話もあった。
社長はじめ全員が慰留したのだが、彼が退職の意思を曲げないので全員で「無責任だ!」と言って吊し上げた結果、その翌日から会社に来なくなってしまったのだ。

彼がいなくなってできることはテレアポしかなかったから、S社のコピー機でも売るかそれともN社の光回線あるいはS社の携帯電話のセールスでもやるか?と議論をしてみたが、まあそこそこ収益も上がっていたのでSEOで行くことになったのである。

そんないきさつで退職したため、まったく引継ぎをしていなかった。
我々3人ではリンクを張ることすらできないので、前から付き合いのあったSEO業者、株式会社エイトタウン社と代理店契約を結んで営業を継続することになった。

飯岡がテレアポをして取った案件がこの榎戸社長の会社、榎戸商会である。
飯岡が営業役、私がコンサルタント役で客先に出向いたのだ。

アポが取れるのもまれだし、契約に至ることはことさらまれなので、とてもうれしかった。
固定給は月額16万5千円と低く、業績給がないととてもじゃないがやってられない。
1契約取れると、アポイントを取った営業担当者は15%、クロージングしたコンサルタント役の担当者は7.5%のマージンがすべての支払いについてもらえるのである。これがなければとうの昔に辞めている。

ぶっちゃけ言うと、エイトタウン社と直接契約したほうがよっぽどマシである。
このSEO業者は2ちゃんねるではむちゃくちゃ叩かれているように施策はひどいものだ。
そして、うちの会社が入ることで、値段もすごく高くなる。

SEO業者への月額支払に72.5%マージンを載せた金額が見積額だ。
もともとの価格自体は安かろう悪かろうという金額なのだが、当社が間に入ることで高く悪くwになってしまうのである。
72.5%という数字は半端に見えるが、当社が50%マージンを取り、担当社員の2名で合わせて22.5%のマージンがあるので、これを足すとこんなきりの悪い数字になるわけだ。

今回エイトタウン社からの見積は、日額成功報酬20,000円だった。
そんなわけで34,500円が当社からの見積額だ。ぼったくりである。

さて、話は元に戻る。
榎戸商会は自然素材の靴下を製造販売している会社である。
もともと自社で運営するショップで販売しており、乾燥肌やアトピーで困っている人を中心に根強いファンがいた。
2年ほど前からECショップを始めて、現在は月商300万円まで成長し黒字化したそうだ。

そんな矢先、ショップの入っていたビルが耐震性に問題があるということで、取り壊さなれればならないことになったらしい。
新しい店舗をオープンするのは多大な投資が必要なのでこの際店舗は作らずに、ECショップを主力にすることにしたそうだ。
そんな矢先我々の会社がSEOのテレアポをしたというナイスなタイミング。いわゆるラッキーってやつである。

倉橋さんは店舗の運営の合間にECサイトを軌道に乗せただけあって、清楚な中にも意思の強さを感じさせる女性だった。
ブログの更新は店舗が閉店してから行い、ソーシャルの運用は日中のお客さんが一人もいない時間にせっせとやったそうだ。ショップのFacebookページは「いいね!」が4000以上もついている。
これは彼女のアイコンのおかげもあったかもしれないが・・・。
自分もこの会社を担当できることがとても嬉しかった。

何としても成果を出さねば。

「靴下」

という超ビッグキーワードで上位表示すれば売れるはずだ。

「靴下という超ビッグキーワードを狙います」

彼女は一瞬口ごもって、

「それでいいのでしょうか?」

やっぱり靴下を売るECの店舗であれば「靴下」というキーワードを狙うべきだろう。

「これでいいんです。素人じゃ、こんなビッグキーワードを上位表示させることなんかできませんが、我々だったらできます。だから正解なんです。期待してください。」
「そういうものなんでしょうか・・・。わかりました。」
「まずは一点お願いがあります。」
「なんでしょうか。」
「Googleのウェブマスターツールは使ってますか?」
「はい。」
「であれば、ウェブマスターツールは削除してください。」
「いいんですか?」
「はい、GoogleはSEOを嫌います。ウェブマスターツールを入れていると、SEOしていることがGoogleに知られてしまいますので、まずは施策に入る前に消す必要があるんです。」
「そういうものですか。」

実はエイトタウン社から指示されているからそう言っているだけで、それが正しいのかどうかなど正直わからない。

「期待してますよ」

榎戸社長は最後にそう言って打ち合わせは終わった。

FTPのログイン情報をもらって会社に帰り、エイトタウン社にこれをメールで送った。
これでもうやることは基本的にない。

あとは月次の報告のタイミングで順位報告を送るだけだ。
でもしかし・・・。

意外に榎戸商会を再訪するタイミングは早く訪れた。

3週間後のことである。
エイトタウン社が、

「Facebookのいいね!の販売を開始したんですよ。
榎戸商会さんに順位の報告がてら、営業に行ってみませんか?」

という提案をしてきたのだった。
私はこれに一も二もなく賛成し、倉橋さんにアポを取った。

まずは、順位の報告だ。

「我々の施策の開始前は靴下というキーワードでの検索順位は89位でしたが、現在47位まで順調に上がってきました。」

「そうですか、さすがプロは違いますね。」
榎戸社長は上機嫌だった。
倉橋さんの表情を窺ってみたが、残念ながら何の表情もなかった。

「今回は一つ提案があります。Facebookページの「いいね!」を集める対策です。現在「いいね!」ですが約4000です。これを簡単に10倍にすることができます。」
「そうなんですか。それはすごいですね。今まで苦労してやっと4000集まったのですがそれが簡単に10倍になるってことですね。さすが専門業者ですね。」
「まあ、プロですから。」

倉橋さんは言いにくそうな表情をしていたが、

「すいません、今の4000のいいね!ですが、いいねして下さった方は私の会社のファンの方で、多くの方が買ってくださっています。増やしていただくのはいいのですが実際に購入につながるのでしょうか?」

そんなこと分からんわ。
どうなんだろう?

「もちろんです。ファンが増えるわけなので購入数も増えますよ。」

あーあ、言っちゃった・・・。
わからないし仕方がない。
エイトタウン社の営業を連れてきた方がよかったなぁ。

「そうですか。」

何となく彼女は釈然としない表情をしていたが、この日は40000いいね!を200万円で販売するという話が榎戸社長とまとまった。
200万円の7.5%が、15万円がマージンとして入るので来月の給料はだいぶ太いはずなのだが、浮かない気分だった。

まあ、契約を取った時に浮かない気分なのはいつものことなのだが、今回は特にそうだった。

それから約3週間後のある日、電話が鳴った。倉橋さんからだった。

「すいません。靴下ってキーワードだけではなくて、そのほかのキーワードも検索に表示されなくなってしまったのですが。」

まずい・・・。

「調査を行いますので、またご連絡します。」

エイトタウン社に急いで連絡する。

「そうですか。おそらくは一時的な下落だと思います。」
「御社の施策のためということはありませんか?」
「当社のリンクは品質が高いのでその可能性はまずありません。もし、リンクペナルティだとすれば他のSEO業者のリンクが影響しているのではないですか?」

そんなことはない。榎戸商会がSEO業者に依頼をしたのは今回が初めてのはずだ。

「それはないはずですが・・・」
「確かめてみましたか?」
「確かめてはいませんけど・・・」
「確かめなければ何とも言えないんじゃないですか?」
「ではどうやって確かめるんですか?」

エイトタウン社の担当者は少しの間沈黙して、

「しばらくして順位が回復しなかったらよその業者がやっていたということになるってことですね。」
「????」
「あとは契約していなかった場合でも、ネガティブSEOっていって同業者が競合サイトの順位を下げるために、品質の悪いリンクを付ける場合があるんです。その可能性が高いですね。」
「同業者から妨害を受けている可能性があるってことですか?」
「うちのリンクが原因ってことはありえないですから、それしかないでしょう。」

他の案件でも下落した例はいくつもあった。
それは全てエイトタウン社の責任ではないのか?

「過去にもいくつか下落した例ありましたよね。それも御社の施策が原因ではないっていうことですか?」
「そうです!そんなことを言われるのは心外です。リンクは正しくつければ絶対にペナルティにはならないんですよ。」

毎回この手の説明を受けてもなんだか納得がいかない。

「ネガティブSEOだったとしたらどうするんですか?」
「当社のペナルティ回復サービスというサービスがあります。圏外に飛んでしまったキーワードが圏内に戻ってきたらその時点で課金発生です。」

通常ならばこの手の問い合わせは電話でのらりくらり何とかかわすのだが、この説明をしに榎戸商会に行った。
この日は社長は他の用事で不在だったので倉橋さんに聞いたままの説明をした。

彼女はあからさまに不快そうな表情をした。

「うちの会社で今までSEO業者を使ったことはありません。またネガティブSEOなんてうちみたいな小さい会社に対してそんなことをする同業者がいるとも思えませんが。」
「まあ、これはあくまでも可能性であって、自然に順位が戻ることが普通なのでいったん様子を見てみましょう。」
「順位戻るのが普通ですか?」
「はい。」

実際は順位が戻ったことはほとんどない。
今まで順位が圏外に飛んだケースは15件ほどあったが、回復したケースは4件しかない。
回復したケースでも元の順位までは戻っていない。

こう言いながら実に苦しいのである。

「検索経由での売上げがほとんどなくなってしまいました。日額7万円ぐらいはあったのですが1万円を切ってしまいました。すぐに戻ってくれないと本当にまずいです。」
「わかりました。」

そう言いながら重い鉛を飲み下したような陰鬱な気分になったのである。
帰社してからエイトタウン社に何とかして回復してほしい旨を話してみたもののの、彼らもなんだかしみじみしなくて暖簾に腕押しという感じであった。

彼らは個々の案件が課金できなかったとしても、トータルでは3割ぐらいの案件で課金できているから儲かっているはずである。
上がらなければ「ハイ、次!」って感じでいいのだろうが一人一人の顧客としてはそれが全てなのだからたまったもんじゃない。

そして悪い時には悪いことが重なるものである。

数日後、今度は榎戸社長から電話があった。

「あのFacebookのいいね!なんだが御社にお願いしたことが原因だと思うのですが、まずいことになっているので相談させてくれませんか?」
「どうしたんですか?」
「いいね!を金で買っただろという書き込みがFacebookにたくさん書き込まれてしまっているんです。」
「・・・」
「Facebookからつながっていたお客さんが買ってくれなくなってしまいました。」
「・・・」
「検索経由の売上も激減してしまってますね。」
「・・・」
「うちの会社ほとんど売上なくなってしまいました。どうすればいいのでしょう?」
「・・・何とか早急に考えてみます。」

エイトタウン社にペナルティ回復サービスを無料でやってくれと電話をしたのだが、それは無理だと言われてしまった。
当社でこの金額を負担できないか?という話をしたのだが、社長にはやはり却下されてしまった。

「榎戸商会って君の取引先だよね。自分で何とかしなよ。」

ペナルティ回復サービスの成功報酬は75万円であった。
こんな金額個人で払えるわけもない。
なんとかならないか・・・。

エイトタウン社を訪問した。
当社の担当者は特に決まっていないらしく、平井主任という営業担当が応対することになった。
平井主任は年齢は30歳ぐらいに見えるが、入社して間もないらしくあまり詳しいことはわからないらしい。
しかし、

「ペナルティ回復サービスは無料では提供はできません。」

しかしきっぱりと言い切った。

「ペナルティ回復する場合は、我々のリンクも含めていったんすべて外さないといけないです。そうしたら我々課金できなくなってしまうじゃないですか?我々はタダ働きですか?」
「でも榎戸商会さんに多大な迷惑が掛かっているんですよ。どうするんですか?」
「それは別に我々の責任ではありません。」
「本当に御社の責任はないのですか?」
「ないですね。我々の施策のせいでペナルティになったという証拠でもあるのですか?」
「せめて、Facebookのいいね!の返金だけでもできませんかね。」
「なぜ返金しなきゃいけないんですか?我々は契約通り40000いいね!を集めました。なのに文句を言われる筋合いはありませんよ。契約書をちゃんと読んで下さい。」

遠慮も何もあったものではない。
結局交渉にも何もならなかった。

榎戸商会からの電話がそれから何度かあったが居留守を使い、メールは全て無視した。
電話口では相当なやり取りが毎回あったようなのだが、のらりくらりとかわしているようだった。

1ヶ月程やり過ごしたある日、被った損害について賠償して欲しいという旨の内容証明郵便が届いた。

社長にこれを見せたところ、

「そんなもん、法的効力なんてないから放置でいいわ。それよりも営業して。」

内容証明郵便の内容は読んでいると胸が苦しくなる内容だった。
売上がほとんどなくなり、ソーシャルネットワークで築いてきた信用も失い、このままでは近いうちに廃業せねばならなくなることが切々と綴られていた。

内容証明も無視して、数日後榎戸社長と倉橋さんがアポなしで事務所にやってきた。

私は居留守を決め込もうと思ったのだが、社長から、

「お前のクライアントだろ。何とかしろ。」

と言われてしまい、逃げ道はなかった。

「どうしてくれるんですか?」

榎戸社長の口調は穏やかだったが、もう逃がさないという覚悟があった。

「すいません。」
「謝らなくてもいいです。どうしてくれるんですかときいているのです。」
「どうにもできません。」
「どうにもできないって御社がやっていることですよね。自分で何とかできないんですか?」
「実はうちは何もやってないんです。うちは代理店でSEOを売っているだけなんです。」
「じゃあ、販売元に何とかしてもらってください。」
「販売元には掛け合ってみました。でもどうにもなりませんでした。本当にすいません。」

「・・・私たちを騙したんですね。」

倉橋さんの言葉は私の心臓を鋭く貫いた。

「私たちが愚かだったのが悪かったのでしょうか。」
「いや、君はもともとSEO業者に依頼することに反対だった。私のミスだ。私が不勉強だったせいだ・・・。しかし、私は君たちを許さない。」
「どうするのでしょうか?」
「君たちにできることは我々の被った損害を賠償することだけだ。賠償しないなら訴訟に訴える。」

ミーティングから解放されて顛末を社長に報告した。

「訴訟になっても別に問題ない、契約書は完璧だから。うちには一切支払いの義務はない。まあ、あんなちっぽけな会社だから訴訟なんてできるわけがない。」

しかし・・・。

「私たちを騙したんですね。」

この言葉が頭の中をグルグルまわっている。
本当は騙したくなんかなかった。

私は会社を退職した。

その3か月後、榎本商会のECショップのページは消滅し、それからほどなくしてどっかのSEO業者のバックリンクのサイトに変わっていた。

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2014/08/11 | コメント/トラックバック(0) |

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SEO業者はこうして倒産した


これはフィクションであり、登場人物や出来事はすべて架空のものであることをあらかじめお断りしておきますなのである。

住太陽氏がSEOの寓話という面白い記事を書いていたので、自分もSEOについてフィクションを書いてみたくなったのだ。

とは言え、私の話は住氏と違って役に立ちませんけどね。


「すいません、2週間後にはお支払いします。」

綾瀬は電話口で、見えぬ誰かに向かって頭を下げていた。
彼女は私が入社した頃からすでに経理担当の役員だった。
私が入社したころはいつも真新しいルイヴィトンのバッグを持って、かかとが10㎝はあろうかというハイヒールを履いて出勤していた。

しかし、最近は融資の依頼のために金融機関を回るのでかかとのないローファーで毎日出勤しているし、地味なノーブランドのビジネスバッグである。

「はい、大丈夫です。ご迷惑かけて申し訳ありません。・・・では失礼します。」

追い打ちをかけるようにまた電話が鳴る。

また電話口で彼女が謝っている。
今日は月初日なのだ。
うちの会社の支払いサイトは月末締めの翌月末支払である。
今回は心なしかそれ程でもないのだが、毎月この日の彼女は辛そうだ。

私は机に座って受話器を手に取って躊躇する。
テレアポは嫌なのだ。

そもそも自分は営業で入社したのではなかったし・・・。
テレアポなんかすることになるのならSEO会社に入社なんかしなければよかったと後悔することしきりである。

電話が鳴ったので取る。
テレアポするよりマシなのでちょっとだけほっとする。

「もしもし金町不動産です。お世話になってます。取締役いらっしゃいますか?」

見まわしてみるとさっきまでいたのにいなくなっていた。

「綾瀬はいま席を外しているのですが」
「そうですか、先月の家賃いつ払ってもらえるかわかります?」
「申し訳ございません、私ではわかりかねるのですが・・・。」
「じゃあ、伝えてもらえます?その事務所の大家さん、御社の事務所の家賃で食ってるのね。大家さんの奥さんは人工透析で大変なんですよ。
 御社からの家賃が入らないととっても困るんです。他の支払いを後にしても家賃は先に払って欲しいんですよね。」

「はあ、お伝えしておきます・・・」

確かに大家さんも大変だろうけど、自分も給料が欲しい。
今月も給料は遅配で、10日遅れで半分だけ支給されたが残りはいつ支給されることやらである。

綾瀬が戻ってきたので、電話のことを伝えた。

「そうよね。私も分かってるんだけどね。でもねえ。お金ないのよ。私だってね、役員報酬ろくにもらってないんだから。もう会社に300万も貸してるのよ。」

一応伝えましたって感じであるが、これじゃあ難しいかも知れんな。

テレアポに戻る。

「はい、当社のSEOは絶対順位が上がります。ホワイトハットという安全な手法を取っているので大丈夫です・・・」

今日もアポが取れない。
ガチャ切りである。

前であれば電話が終わってすぐにかけていたが最近はやる気が出ないので、意味もなくGRCを眺めて気を紛らわせている。
しかしまあ、どれもこれも上がってないわw

電話が鳴る。

「羽鳥商店ですけど、お宅に頼んでたキーワードなんだけどさ、まったく検索に出なくなっちゃったんだけどどうしたの?」

またこれか・・・。確認するまでもないがGRCを確認するとやはり圏外に飛んでいる。

「それですね。一時的な下落だと思いますので、あともうしばらくお待ちいただけますか?」

何とかとりあえず事なきを得た。

また別の電話。

「あのさ、待てって言われたから2ヶ月待ってみたんだけどさ、全然順位回復しないよ。どうして?」
「アルゴリズムが変わった影響なんです。当社としても対策をしてますので。」
「おたくさぁ、成功報酬より月額固定の方が得だからお勧めですよって言ったじゃん。でも全然上がらないよね。詐欺だと思うんだけど。」
「すいません、何とかしますので・・・」

私も本当は成功報酬のほうがクレームにならなくていいと思う。
自分だって好きで月額固定を勧めたわけではない。

「上がらないから固定報酬にするんだよ。」

と社長から押し付けられたからである。

ペンギンアップデートの前から上位表示の勝率はすでに下がりまくっていて、課金できるキーワードは2割を切っていた。そして、アップデートを境にして壊滅的に順位が下がり課金できるキーワードは1割を切るまで低下した。

4割ぐらいのキーワードは圏外に飛んだ。
本当であればうちの会社のSEOなんかやらない方がいいと言いたいのが本音である。
この業界の中でも評判が悪い某社や某社や某社のリンクの方がうちよりマシだ。

「何とかするってどうするの?」
「優良なリンクを徐々につけていますのでそのうち回復すると思います。」
「いつ回復するの?」
「あと1ヶ月ぐらいお待ちいただけますか。」
「あんた先月も同じこと言ったよね!」

回復なんかするわけないってわかってる。
何もしてないし。
回復してくれないかなって祈っているだけだ。

「いいよ。もう解約するから!」
「でもまだ御社の場合はまだ3ヶ月契約が残っておりますので・・・」
「なんだよ。まだ払えっていうのか。ふざけんなよ。お前じゃ話にならん。社長を出せ社長を。」
「社長はあいにく不在でございまして。申し訳ございません。」
「いつだったらいるんだよ。」
「さあ、わかりません。」
「わからないって何なんだよ!」

本当にわからないのである。
最近はほとんど会社に来ていない。ふらっと会社に現れて、いつの間にか消えているのである。

「申し訳ありませんが、わかりません。」
「何なんだお前の会社は」

電話は切れた。良かった。

とりあえずインスタントコーヒーを淹れて飲んで一息つく。
テレアポしたくないのでGRCを見ながら気分を紛らわす。

騙しであることは最初は抵抗感があったが慣れた。しかし、受注が取れたとしてもクレームになるだけだからモチベーションが上がるわけもない。

ではなんで辞めないのか?

事務所にいるのは綾瀬と私だけ。
最後の施策担当者も辞めてしまって施策ができるのは、もともと営業担当だった私しか残っていないからである。

いや、それは違うな。

一番社員が多かったころは20人以上いたのだが、大量離脱事件があったり、その後も櫛の歯が欠けるように少しづつ社員が減っていって社員で残っているのは私だけ。
営業部長といえば聞こえはいいが部下は誰もいないし、手取り給与23万で部長って切なくて笑える。むしろ、役付ではない時の方がずっともらっていた。徐々に給料は下がっていき、部長職を拝命した時には入社前より給与が下がったのである。

でも、いまだに私がこの会社にいる理由は・・・

また電話が鳴った。よく電話が鳴る日である。

珍しいことに社長だった。

「今持っているドメインやブログ売却することになったから、ログイン情報まとめて俺にメールしておいて。」

はい?って感じである。

「え?廃業するんですか?」
「違うよ。今の被リンク上がらないだろ。よそからマシなリンクを買うことにしたんだよ。そうすりゃあ、もうちっと課金できるんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。」

どこにそんな金があるんだよ。
そもそもこんな腐ったリンク買うやついるのか?

色々疑問ではあったがまとめて社長にメールした。

そんなこんなでろくすっぽテレアポもしないうちに昼休みの時間になった。

「友部さん、もう上がってもいいわよ。」
「え?まだ昼ですけど。」

「社長からは黙っていろって言われたんだけど言っとくね。
実はね、この会社今日で終わりなの。今まで本当にお疲れ様。

残りの給料も退職金も払えないから、事務所にあるもので欲しいものあったら好きに持って帰って。」

いつか来るとは思っていたが、それが今日とは。
ある日会社に出勤したら、会社の中のものがすっからかんになっているとか、借金取りが押し寄せているといったドラマチックな出来事を少し期待していたので、少し肩透かしを食らった感じだ。

欲しい物か・・・。ここにあるパソコンやサーバーってもう5年ぐらい前のものだし、ページプリンタもメンテナンスしてないからかすれて汚れた横筋が印刷される代物だ。

欲しい物か。
綾瀬がずっと世話をしていた机の上の小さなサボテンの鉢植えは可憐な花を咲かせていた。

「これもらっていいですか?」
「え、これが欲しいの?」
「はい。」
「べつにいいけど。」
「ありがとうございます。」

「友部さんはこれから大変だよね。どうもしてあげられなくてごめんなさいね。」
「綾瀬さんはどうするんですか?」
「再来月結婚するの。」
「マジですか?」
「マジです。」
「おめでとうございます。」
「ありがとう。」

私はもう来ることのない事務所を後にして、貯金もないしなぁ、手に職もないしなぁ、綾瀬さん結婚しちゃうんだぁとか色々な想いが去来しては、消えることなく頭の中をぐるぐると渦巻いた。

「全部終わった」

自分で自分に言い聞かせるようにそう呟いたのである。


もしも、この小説を気に入ってくださったのであれば過去にも「カニのオマージュ」というSEO小説も書いています。SEO業者に就職した営業担当者の悲哀を書いた迷作です。あわせてご覧いただければ幸いですw

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2014/07/22 | コメント/トラックバック(4) |

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