SEO業者はこうして会社をつぶしたの続編なのである。
SEO業者をテーマとした小説がちょっとばかり好評なので、調子に乗って3回目なのだ。
前作を読まなくても分かるようにはなっているが、読んでいないのであれば読むことを推奨である。
ちなみに今回は最長、8900文字もあるので、こちらのPDFファイルで読んでもらった方が楽かもしれない。
半沢直樹シリーズみたいって言われるかもしれないが、まさしくその通りである。実際に最新作の銀翼のイカロスを読んで熱くなってしまったので影響があることは間違いない。
筆力の違いはいかんともしがたいが、私なりにあれを書こうとしたらこうなったってことである。
私の勤めていた榎戸商会という会社は2年ほど前に倒産した。
SEO業者に施策を依頼したECサイトがペナルティになってしまい、検索経由での売上がほぼなくなってしまった。
それだけではなく同じ業者からFacebookのいいね!を購入していたことが、ソーシャルメディア上で拡散してしまいこれまでのファンからの信頼も失ってしまったのだ。
私はSEO業者に施策を依頼することも、いいね!を人為的に集めることにも反対だった。
しかし、社長であった榎本氏がSEO業者のセールストークを完全に信用してしまい業者にいいようにやられてしまった。
私がもしあの時もっと強く反対していればと悔やまれてならない。業者の言うことに対して反論する程SEOについての知識がなかったのだ。
事務所兼、靴下を作る工場兼、社長の自宅には社長の家族も住んでいた。
まだ小学生の娘は私にもよくなついていて、学校から帰ってくるとビーズ細工などをして遊んだり一緒に一泊旅行に行ったりもした。
家族はECサイトを畳んだ時に自宅を引き払い、山梨で社長の兄がやっている蕎麦屋を手伝うことにしたらしい。
社長の兄というのは非常にケチな人物らしく、社長は昔から嫌っていたらしいのだが食っていけないのだから是非もない。
そんな兄のところに身を寄せている家族のことを思うと、もう少し自分がしっかりしていればと悔やまれてならない。
1年が経った。
私は年商20億円ぐらいのECショップを運営している飯倉株式会社という会社に転職した。
自分では零細ショップでの経験などとるに足らないものだと思っていたのだが、経験を評価してもらって採用してもらえたのだ。
「ゼロから立ち上げて黒字化したのは大したものですよ。」
そう言われたのだが、やることをやっただけのつもりだったので褒められているのか、お世辞なのか、皮肉なのかよくわからなかったぐらいである。
今回も新しい商材のECサイトを任された。
スポーツ自転車に乗る人向けの自転車用品の専門の販売サイトだ。
最初は自転車に全く興味がなかったので自信がなかった。
まずはユーザの気持ちを知るところから始めなければと考え、この金額でも初心者向けということに驚いたものの20万円程のスポーツ自転車を買った。
最初は30kmぐらいしか乗れなかったが、徐々に距離を伸ばしていき週末の度に150kmぐらい乗れるようになった。
1ユーザとして自転車に向き合っているうちに、一つ一つの商材を買うユーザの心情をつかむことができるようになるのを感じた。
最初は運営のコツがわからず苦戦したがものの、始めて2か月程で手ごたえをつかみ半年後には月商900万を超え、1000万をうかがうまでに成長した。
リスティングやアフィリエイト広告に使うための広告予算も比較的潤沢にあったため、軌道に乗せるのは割と簡単だったように思う。
毎日ブログを書いたし、週明けはツーリング日誌と称して走ったコースなどをレポートし、
ソーシャルメディアを運用して固定客のつながりを強めたり、いちゃもんとも思えるようなクレームに対しても真摯に対応し、
アフィリエイターの提携申請に対しては休みの日であったとしても必ずその日のうちに処理を行ったし、全てのサイトを実際に見た上でお礼のメールを出し、
SEOについても会社で売っている商品を販売するアフィリエイトサイトを自分で運営して、毎日実践したりしながら知見をつかんでいったりした。
やるべきことをやっているだけなのだが、これらをこなしているだけですごいと言ってもらえたのは意外に思えた。
そんな頃、SEO業者から営業電話がかかってきたのである。
SEOについては特別に取り組む必要は感じていなかった。
Webマスターツールでは着実にクエリ数も増えており、約5000程度まで増加していた。
今のやりかたで間違っていない。そういう確信はあった。
フリーダイヤルしか公開していないにも関わらず、そこにかけてくるような失礼極まりない営業電話はいつもは話途中で切ってしまうのだが、この日の電話は違った。
忘れもしない、私が勤めていた会社をつぶしたあの会社、サウザンドリーフ社である。
営業してきたのは横芝と名乗っており、私のことを知らない社員のようだった。
私は彼からのアポイント提案を受け入れ事務所に呼ぶことにした。
但し一人で来ることという条件をつけた。
私を知っている社員が同行すると全てはおじゃんになる。
横芝は事務所にやってきて、
「自転車用品っていうキーワードで上位表示させましょう。そうすれば売上は激増しますよ。」
またこれか。
既視感に激しいめまいを感じた。進歩しない人達・・・。
「本当に自転車用品ってキーワードで上位表示されると売上が上がるのですか?」
「そりゃあ、そうですよ。」
自転車用品なんてキーワードで一体誰が何を求めて検索するっていうのでしょう?と突っ込みたくなる気持ちを抑えて、
「そういうものですか。」
「そうですよ!」
「わかりました。」
とりあえずいったん話を打ち切って、
「ではこちらのサイトの対策をお願いしようと思います。」
リスティングのために前に作ったLPでありドメインは別だ。このページには自然検索経由でのアクセスはほぼないことはわかっている。
このページであればペナルティを食らってもさほど問題はない。
LPと言いつつも会社案内といったページはいくつかあるが、本サイトと同様の内容でありnoindexになっておりインデックスさせない設定になっている。
最初からSEOは捨てているページである。
上げられるものなら上げてみろって感じだ。
「かしこまりました。ではメールで見積と発注書をお送りします。」
「お待ちしております。」
「最後に1点お願いなのですが、Webマスターツールは削除が必要です。」
「何でですか?」
「GoogleはSEOを嫌いますので、SEOをやっていることをGoogleに知らせない方がいいためです」
全くあの時と同じだ。馬鹿なの?
「あのう、ちょっと聞いていいですか?御社のSEO対策ではペナルティになることはないって聞きましたが、Webマスターツールが入っていなければペナルティになったかどうかなんてわからないんじゃないですか?」
「・・・」
「どのみち今現在Webマスターツールを導入しているので、今更削除したとしてもGoogleにはサイトの存在は知られているでしょうし、Google Analyticsも消さないと意味ないんじゃないですか?」
「Google Analyticsは問題ないんです。GoogleはAnalyticsのデータを用いてペナルティにするしないの判断はしないと明言してますし。」
それはWebマスターツールも一緒ですよね。Webマスターツールが入っているとペナルティの通知が来るからあなたたちは困るからですよね。とここまで出かかったが、我慢した。
「そういうものですか。わかりました。」
とあの時のような反応をしてやり過ごした。まあ実際のところはどうでもいい。
Webマスターツールを当社側が見ているかなんてことは、SEO業者には絶対にわかりえない。
その日のうちに契約書と見積書が送られてきた。
成功報酬は24750円だそうだ。高い。もし、万が一成果が1ヶ月完全に達成した場合は76万円を超えることになる。
こんなキーワードで上がったからと言って、こんな金額を回収できるわけがない。全く馬鹿としかいいようがない。
私は売上金額の1.5%までなら自由に販促費を使ってもいいことになっているがとても足りない。
今度は、FTPのアカウントは開示しなかった。
「内部施策のために必要なのでFTPのアカウントを教えてください。」
と言われたものの、
「それは規則で社外の人には教えられないことになっています。」
「NDAを締結させていただきますがいかがでしょうか?」
「内部施策が必要であれば作業指示書をいただけば、その通りHTMLを社内のデザイナーが実装しますので御社にやっていただかなくて結構です。」
「はい、わかりました。」
これで引き下がっていたので、よくあるケースなのだろう。
FTPを開示しないので、.htaccessをどう編集したのかSEO業者側にはわからない。
.htaccessでGoogleのクローリングを拒否してしまえばGoogle検索にはヒットしなくなるので、検索順位を監視しておいて上位表示されてしまいそうになったら手を打つことができる。
実質的には1ページしかないペラサイトなので、いくら外部施策をやったとしても上位表示はほぼ100%あり得ないことだが、回避策は用意しておいた方がいい。
一番重要なこと、それはペナルティである。
契約書にはペナルティになっても一切の責任を負わない旨が記載されていたので、そこは「絶対ペナルティにならないのだからこの条文はいらないですよね」と言って削除を要求し、ペナルティになった場合には速やかに回復する義務を負う旨を明記させた。
かなり渋っていたのだが、やはり契約が欲しいのだろう。最終的には折れたのである。
契約を開始して当初は300位圏外だった順位は1ヶ月ほどで上がってきて75位まで上昇してきた。
この程度なら全く課金は程遠い。30位ぐらいまで上がってきたら考えればいいだろう。
Webマスターツールから被リンクをダウンロードしてみる。
なかなかひどいものだ。
1ページから無関係な文章が大量に羅列されていて20サイトぐらいにリンクされている。
こんな感じである。
家電量販店よりも家電通販が便利です。
世田谷で痛くない医療痩身を受けてきました。
宇都宮餃子は美味しいですね。
ランドセルは新入学の必需品。
こんな文章が延々と続く。
100人が100人見てSEOスパムだと判断できる代物だ。
このページのドメイン名は日本で使われていたとは思えないものであった。
Wayback Machineで見てみると、3年前には全然違うサイトだった。
ロシア文字が並んでいて何が書いてあるかさっぱりわからない。
ページランクは「なし」である。
危険物そのもの。
帰宅してから一つ一つの被リンクのサイトやブログを開いてみて、リンク先をまとめてみる。
リンク先はこのSEO業者の基本的に取引先であるはずだ。
Whoisでまずは全ての独自ドメインの所有者を調べてみたのだが、バリュードメインなどのドメイン販売業者の名義になっており、どの業者が実際に管理しているのかはわからなかった。
ここから尻尾をつかむことはできないか・・・。
まあ、いい。
1ヶ月かけてリストをまとめて、約650のSEO対象サイトをピックアップしてみた。
中には私のいた会社、榎戸商会のECサイトもあった。
このせいで私の会社はつぶれたのだ。
こんな雑なリンクで金を取ろうってひどいわ。ほんの少しだけではあるが薄らいでいた憤怒と自責の苦い感情が広がった。
SEO対象となっているページはページランクが「なし」になっていたサイトも30ほどあり、1位で表示されるであろうサイト名ですら10位以内に入っていないケースが多々あった。これらはペナルティを受けたサイトであることはほぼ間違いない。
私はそれらのサイトのサイト管理者に全てメールを書いた。
「自サイトをペナルティにしてしまったSEO業者に対して仕返しをすべきだ。」
という趣旨である。
多くのサイト管理者から返信が届いた。
私が以前榎戸商会の社員だったときは、契約したのはSEOの代理店で施策を行っている業者は分からなかった。
返信には株式会社エイトタウン社への恨みが多く綴られていた。
まさしく、私の会社がやられたことそのものである。
大体手口は同じだった。
- 日額成功報酬で契約をとる
- ペナルティになる
- 高額なペナルティ回復サービスの契約を迫る
- ペナルティ回復サービスを契約するとリンクをはがしてくれる
といった一連の流れらしい。
順位が10位以内まで上昇して成果報酬が発生することは最近ではほぼないらしい。
最初から順位が上がることを期待してないのかもしれない。
複数サイトをエイトタウン社に施策させていた会社では、ペナルティを受けたサイトの中で重要なサイトのみペナルティ回復サービスを契約したそうな。
すると、契約しないサイトはそのままだったものの、契約したサイトの被リンクはきれいに抹消されたらしい。
自分で泥棒をしておいて「金を払えば犯人から取り返してあげますよ」と言うような詐欺である。
非常に多くの証言がある。これだけでもエイトタウン社の犯罪の証拠としてはほぼ確実だ。
しかし、状況証拠でしかない。
ソーシャルネットワークで親しくなって、現在は時々情報交換をしているレンタルサーバ業者の社長さんがいる。
社長といっても従業員3人のこじんまりとした会社らしい。
この社長さんに前職の会社で起こった出来事と、現在エイトタウン社の施策によって困っている人のことを話して頼み込んだら快諾してくれた。
「そういう悪い奴を懲らしめるのには賛成ですね。協力しますよ。」
10IP分散のサーバについて当初半年間無料。
その後は10サーバー合わせて月額千円で使えるという破格の条件でサーバを貸してもらえることになった。
最初は私はそれに相応する金額は払うと言ったのだが、本当にその金額でいいと言ってくれたのだ。
この金額を餌にして営業メールと電話を使ってエイトタウン社にアタックしまくった。
何度も電話はガチャ切りされたが、技術担当者らしき人が出たら条件の良さに即決してくれた。
サーバ設定が終わって数日後にはサイトが徐々に立ち上がり、約1か月後にはレンタルサーバには例のゴミのような被リンクのページが山のように出来ていた。
そのページからは私がリストとしてまとめた約650サイト中に含まれるサイトも多くあった。
動かぬ証拠はつかんだ。
エイトタウン社のSEOの代理店、サウザンドリーフ社の担当横芝を電話で呼び出しエイトタウン社の社長を同行して連れてくるようにと話した。
「エイトタウン社の社長って何でですか?」
「あなたの会社はエイトタウンのただの一代理店だからエイトタウンが来なければ話になりません。」
「何でうちがエイトタウンの代理店だってわかったんですか?」
「調べれば簡単に分かることです。」
「でも何で社長なんですか。」
「社長じゃないとだめなんです。社長が来ないならばこちらにも考えがありますよ。例えば、某巨大掲示板に御社とエイトタウン社がこれまでしてきたことを書くとか・・・。」
「それって脅迫ですか。」
「さあ、どうでしょう?」
結局後ほど折り返し電話がかかってきて、エイトタウン社の社長も来社することになった。
当日の打ち合わせはセミナーでも使っている大会議室で行われた。
エイトタウン社の市川社長と、サウザンドリーフ社担当の横芝がやってきた。
こちら側はエイトタウン社のSEO施策によってペナルティを受けた会社の担当者や社長など総勢25名という陣容である。
既に倒産した私の前職の榎本元社長もいた。
市川社長も横芝も肝をつぶして、
「何でみなさんここにお集まりなのですか・・・」
「あなたから謝罪と対応をしてもらおうと思いましてね。」
「何のことですか?」
「言われないと分かりませんか?というかとぼけるのはいい加減にしてください。」
「・・・」
「ペナルティになるのが分かっていてリンクを張り、そのリンクをはがすのにお金を要求するってどれだけあなたは腐っているんですか?」
「私たちのせいでペナルティになったという証拠でもあるんですか。」
「ペナルティ回復サービスを申し込むとリンクが数日間でほとんど残らず消えますよね。あんなことは自社の管理下のリンクでなければ不可能です。」
別のエイトタウン社の被害を受けた別の会社に協力してもらい、ペナルティ回復サービス前と後のリンクをすべて印刷して残しておいたのだ。
「わざとじゃないですよ。私達だって上位表示されるように精一杯やったんです。」
「上位表示されたことなんてありましたか?私はあなたの会社がSEOを請け負っていたと考えられる650サイトを全て詳細に見てみました。」
「アンカーテキストに含まれる重要キーワードでは全く上位表示していませんね。」
「そんなのは言いがかりだ。上がっているクライアントだってちゃんとある。」
「あんなくそみたいなリンクで上がるわけないないやろボケェ!」
私に代わって発言をしたのは業界の草分けで、数多くの著作で知られるSEOコンサルタントの小岩氏だった。
被害を受けたうちの一社が彼からコンサルティングを受けているため本日同行したらしい。
市川社長は小岩の存在に気が付いて驚愕の表情を浮かべていたが、
「小岩先生お会いできて光栄です。私もあなたの書籍でSEOを勉強したんです。」
そう言って場の雰囲気を変えようとした。
「おべんちゃらなんかいらんわい。わいの本をちゃんと読んどったらあんなSEOなんかせんやろ。読んどらん証拠、ムカつく奴や。」
「・・・」
「SEO業界が胡散臭いって思われるのはお前みたいな奴がおるからや。お前みたいなカスは死んでしまえ!」
「榎戸と申します。私の会社はあなたのせいで倒産したのです。どうしてくれるんですか?」
「私の会社には責任はありません。」
「いつもそうやって言い逃れをしてきたのでしょうが今回は通らないですね。」
松岸が口を開いた。
彼はITの関連の案件を専門に行うことで知られた弁護士である。
「倉橋さんが証拠を固めてくれました。貴社がやったSEO対策はGoogle社の定めるガイドライン違反であることは明白です。それを隠してペナルティの可能性はないと強弁するのは無理でしょう。」
「被リンクがうちの会社であるなんて証拠なんかない。よそのSEO会社の被リンクなんじゃないですか?」
「証拠はあります。」
6か月無料契約を餌にして契約を取った、レンタルサーバの契約者情報のプリントアウトを松岸は差し出した。
「これが証拠です。ここに集まっている方々が原告団となり民事訴訟、刑事訴訟の両面で現在裁判の準備を行っています。これだけの証拠と証人があれば負けない。」
「お前は俺をはめたんだな!」
市川社長は顔を真っ赤にして吐き捨てるように言った。
「それはこっちの台詞ですよ。ここにいる人々を騙したのは誰ですか。」
「俺は騙してない。俺は当然の経済行為をしたまでだ。」
「この期に及んでそんなことを言うんですか。面の皮がどれだけ厚いんですかね。まあいいです。裁判の結果を待つまでもなく、もうすぐあなたは報いを受けるのですから」
翌週の週刊水曜日にはエイトタウン社とサウザンドリーフ社の行った詐欺行為の特集が組まれていた。
榎戸社長を始め他の被害者にもインタビューがなされており、また専門家の見解としてSEOコンサルタントの小岩氏、松岸弁護士のコメントも書かれていた。
この週は他に大きなニュースもなかったためか、テレビ局や新聞の取材もエイトタウン社に押し寄せた。
市川社長は相変わらずノーコメントだったが、このタイミングで退職を決意したというある従業員は、
「クライアントを騙し続けることが苦しくて辛かったんです。」
と電子音のように加工された音声で語っていた。
この従業員は裁判で証言台に立つことも約束しており、市川社長の逃げ場は完全にふさがれた格好である。
既存客だけではなく、報道を見て過去の顧客までもが続々と損害賠償請求を求める原告団に加わって来た。
市川社長の所有のフェラーリや三軒茶屋のマンションも仮差押え処分を受け、会社の現預金も凍結された。
従業員の給与を払うこともできない状況に追い込まれたのである。
エイトタウン社はついに倒産した。
ついでに言うと、エイトタウン社の代理店業務を行っていたサウザンドリーフ社も、責任から逃れることができず同様に倒産した。
会社の人々をはじめ様々な人々から応援され悪徳業者を倒すことができたが、榎戸商会を倒産させたことによる気持ちのささくれはなくなることがなかった。
そんな矢先のこと榎戸元社長から連絡があった。
靴下の製造機械は倉庫にとっておいたので、エイトタウン社からの回収よって靴下の製造販売をとりあえず再開することができたそうだ。
自転車用品の販売は軌道に乗り、部下の社員も採用してもらった。
彼女は専門学校でHTMLを勉強した経験があり熱心だった。愚直に私が実施しているのに近いレベルでこなしてくれている。
要所を押さえておけば任せても大丈夫だと思う。それに彼女はとても美人だしw
自然派靴下という商材もうちの会社で一手に扱ってECショップで販売してもいいことになった。
もともと売っていた商材なので今の知識ならすぐに軌道に乗せられるだろう。
「もう一頑張りしますか。」
夜の10時を回ったオフィスで呟いたのである。
もしこの他にもSEOの小説にご興味があれば、
SEO業者はこうして倒産した
SEO業者はこうして会社をつぶした
SEO小説 カニのオマージュ
このような小説も書いておりますので是非ご覧くださいなのだ。
カニのオマージュはあり得ない設定の小説ですが、個人的にはちょっと気に入っている。
もし、カニのオマージュが面白いと思われたならば、
掌編小説「カニのオマージュ」という同じタイトルで、設定の似たSEOとは関係のない小説も書いているので合わせてご覧くださいませ。
コメント
3作楽しく読ませていただきました。
ものすごくリアリティがある話で、ノンフィクションということを忘れがちになりますね。
すごく楽しかったです。
また新しい作品に期待してます!
いつもご覧頂きありがとうございます。
こんな長いものを読んでもらって嬉しいです。
リアリティがあるっていうのが、この業界のつらいところですねw
小説全部読みました
リアリティがあって楽しめました、冒頭でおっしゃられていた「半沢調」がいいですねw
次回作楽しみにしています。
通りすがりのロングテールでした。
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