今回のネタであるが、
というテーマである。
小売業の戦略とSEOは実に似ているということを今回は書いてみたい。
Googleウェブマスター向け公式ヘルプフォーラムには時折、Googleに対する不信や反感をあらわにした書き込みがなされる。
そのような書き込みにこのような主旨のものがあった。
Yahoo!は中小サイトに対してもきちんと評価をしてくれた。
しかし、Googleはamazonといった大規模サイトばかりを不当に優遇している。
これでは、予算が潤沢にあるサイトばかりが生き残るという事態になってしまう。
といった書き込みである。
それに対する賛同の意見もネット上には時々見られる。
私は決してGoogleが全て正しいとは思ってはいないが、上記のような意見は間違っていると考えている。
間違いと考えるポイントは3つ。
そのポイントのうち後の2つにはSEOの戦略を考える重要なヒントが隠されている。
Yahoo!はスパム判定のアルゴリズムがGoogleより弱かった。
スパム判定アルゴリズムの欠陥をついてやれば、上位表示できるという場合があったのだ。
スパム判定アルゴリズムの欠陥をつくというのは、スパムSEOで上位表示をするという意味である。
上記の書き込みをしていた人は、スパムSEOを意図していたわけではなさそうだった。しかし、結果的にそのような施策を行なっていた状態になり上位表示していたと考えられる。
これは、Yahoo!は中小サイトを正しく評価していたわけではないのである。
このようなだましはGoogleには通用しないので、結果的に順位が下がったにも関わらず文句を言うのはお門違いだ。
さて、ここからが本題。
大規模サイトが優遇されるのは当たり前なのである。
私は検索エンジンの性質をこう例えることにしている。
検索エンジンはタクシーの運転手のようなものだ
タクシーの運転手に、
「買い物をしたいんだけどどこか連れてって」
と頼んだら、百貨店とか大型スーパーに連れて行くだろう。
具体的なニーズが分からなければ、とりあえずどんなニーズにも対応できるような選択肢を提示するのがプロの仕事だ。
その結果タクシーの運転手はそんなところに案内する。
検索エンジンもこれと一緒だ。
ビッグキーワードで検索をした時にはそれに関連する情報や、関連ページが多数存在する大規模サイトを上位に表示するのは当たり前であり正しいのだ。
ところが、もっと具体的なニーズを提示された場合を想定しよう。
「洋服を買いたい。」
とタクシー運転手に頼んだら大きな洋服屋に連れていくだろう。
更にもっと具体的に、
「カジュアルな洋服を買いたい。」
と頼んだら、カジュアル衣料の店に連れて行くだろう。
さらにもっともっと具体的に、
「ジーンズを買いたい。」
と頼んだら、ジーンズの専門店に連れて行くかも知れない。
小型店は品揃えで、大型店を凌ぐことはできない。
小型店は品揃えを絞り込むことで、初めて大型店にない特色を出すことができる。
自分の店が、近隣の大型店の100分の1の面積しかなかったとしても、何かに絞り込めばそこに勝機がある。
特定のアイテム(ジーンズだけとか)に絞り込むとか、客層を限定するとか、価格を限定する(全て1000円均一とか)とか、といった戦略である。
SEOもこれと同じである。
小さい特定のキーワードであれば、大規模サイトに対して勝機を得ることが十分可能である。
この点においてGoogleは実に公正に扱おうとしている。
先ほどのタクシー運転手と同じような考え方、言い換えればアルゴリズムで作られているのだ。
予算が潤沢にあっても、全てのキーワード、全てのテーマを網羅することはできない。
その昔、小売業の間では「包み込み理論」という言葉が流行した。
競合店が自分の店よりも小さい場合である。
競合店にある商品を全て自分の店に揃えてしまえば、それプラスαが自分の店にはあるので競合店に必ず勝つという理論である。
この理論は一時期かなり正しいと考えられ、百貨店などは大型化し、競合他店の品揃えを真似るようになった。
しかし、これは間違っていたのである。
結果として、大型店の品揃えは似たり寄ったりになった。
顧客層やアイテムを絞り込んで魅力的な提案を行う専門店に対して、大規模店は太刀打ちできないという事態を招いたのである。
SEOもこれと一緒だ。
キーワード全てを大規模サイトが網羅しようとしても、1つのテーマに特化した個人レベルの小規模サイトに太刀打ち出来ない。
また、更に言えばGoogleはこの点については公平であり、同一ドメインで検索結果を占めてしまわないように配慮をしている。
小規模サイトに対して広くチャンスを与えていると考えられるのだ。
自サイトの規模を考えて、適切な規模のキーワードやコンテンツを狙っていけばいいのである。
大規模サイトにない作りこんだ魅力的なコンテンツにより、その分野では大規模サイトを圧倒することは容易だ。
この点においてGoogleは非常に公正であり、実際の人間の行動に近いアルゴリズムとなっている。
今回は小売業の戦略とSEOの類似点について述べてみたが、小売業はマーケティングそのもので成り立っている産業である。
SEOはマーケティングである以上、小売業との類似があるのは当然と言えよう。
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