企業担当者も制作業者もSEOについて誤解していると感じることがある。
SEOをそれ単体が特別なものとして捉えられているという誤解だ。
SEOはWebサイトにおける集客活動のごく一部を担うに過ぎない。
それ自体が独立して存在するわけではなく、SEOのみでできることなど高々知れている。
期待しすぎると失望する。
よくあることであるが、キーワードプランナーといったツールを使って、キーワードを洗い出してコーポレートサイトを作ろうという企てなどは間違いである。
コーポレートサイトに求められるページとは何であるか?
ユーザーに対して、製品・サービス・会社の情報を余すところなく伝えること、信頼を持ってもらうことだ。
集客しなくては目的は達成できないが、SEOに偏って内容をおろそかにすると、そもそもの目的を達成することができない。
SEOによって内容をおろそかになるケースというのが、キーワードありきでWebサイトを作ってしまう場合だ。
何故、キーワードありきで作ると内容がおろそかになるか?
それにはいくつかの理由がある。
- 本来、ページは書くべき内容が先にある。しかし、書くべき内容が明確なイメージがないままにページを作ることによって、価値のないページができる。
読んでも印象に残らない、あるいはあまりにもありきたりでつまらないページになる、もしくは、ユーザーニーズとかい離した内容のページになる。 - 類義語を使ってそれぞれ別のページを作ってしまう。
例えばお風呂のリフォームのページを作る場合を想定しよう。
「風呂」「ユニットバス」「浴室」といったように主語に相当するキーワードが複数ある。
「リフォーム」「改築」といったように述語に相当するキーワードも複数ある。
このように主語、述語ともに複数ある場合、全部の掛け合わせのパターンを作るということが間違いのもとなのだ。
サイト内での統一感が失われるし、単体の記事は良かったとしても類似のコンテンツが多数できてしまう。 - ユーザーが自社のサイトに求めている内容とかい離したページができる。
その結果として、ブランドイメージを損ない本来の目的を達成することができなくなる。
この会社はこの程度のことしか考えていないのか?
と思われてしまうのである。
最近は、コンテンツSEOという言葉が流行しているが、この手のページを量産しているのであれば結局のところ目的を達成できないだろう。
そうして、検索エンジン経由の集客そのものもうまくいかない可能性が高い。
書くべき内容のイメージがなければ、検索キーワードをとりあえずタイトルと、本文に含んではいるもののぼんやりとした記事になるだろう。
そうすると、検索キーワードに対する記事の内容の掘り下げが浅くなって、検索エンジンからは評価されない。
テクニカルな話をすると、「共起語」が少なくなるといったページになる。そのことがきちんと理解できていない人が書くため、どうしてもそうなるのである。
では共起語を文章中に入れ込んでやればいいではないか?
というようにズルく考えればなるのだが、これにはあまり意味がない。
Googleが認識している共起語を正しく知るツールなんてそもそも存在しないのだ。
また、文章の内容の良否は共起語だけに依っているわけではない。
良い記事は、良い記事を生み出す努力と、知識によってのみ作られる。
上辺だけ真似しても、うまくいかない。
歴史的に有名な画家の絵は数億円の価値があり、それを模した画学生の絵は価値が全くないか、数万円といったところだろう。
見る人が見ればわかる。
それと同じだ。
また、類似コンテンツができてしまうことによっても、サイト全体の情報量が薄くって検索エンジンから評価が下がることも十分に考えられる。
結局、SEOに偏したサイトというのは、ブランディングを損なうのみならず、検索経由の集客もうまくいかないのだ。
最後に一言書いておこうと思う。
私は検索キーワードを見つけるツールそのものは意味がないとは思っていない。
使い方によっては有用である。
「Google先生」という言い方がある。
「何でも知っているGoogle」という意味だ。
検索のほとんどは自分が知りたいことの答えを、Googleから教えてもらうという行為である。
「ユーザーはどういうことを疑問に感じるのか?」
「ユーザーはどういう言葉を使って検索しようとしているのか?」
ということを知るためにツールを使うことは非常に有用である。
検索キーワードの裏側には検索するユーザーが存在する。
そのユーザーのことを知るために、検索キーワードを知ることはとても有用だ。
そのキーワードの検索ニーズはこれだ。
と考えることは的が外れていることがままある。
そうではなくて、検索ニーズを満たすための内容とは何か?を良く考えてページを作ることは実際に検索ユーザーにとっても有用な試みである。
検索キーワードは単なる文字として存在するのではなく、人間のニーズとして存在していることを考えて作るのであれば有意義であることを最後に付け加えておくのである。
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